地下深く潜む資源と情報を掘り起こす!
掘って、震動させて、天然資源にアタック!
最近は新しいエネルギー源として、シェールガス、メタンハイドレートなどが注目されています。これらの化石燃料を見つけるには、地下の情報を調べることが必要不可欠です。地質を調べるには、大別すると2つの方法があります。1つは、実際に地面を掘削し、地層の土を採取して分析する方法です。もう1つは、「地震探査」と言われる方法で、火薬などを使って地上で人工的に地震を起こし、その地震波が地下に伝播・反射する状況を検知して、地層の構成を調査します。これらの地質調査は、エネルギー源の獲得という工業面だけではなく、地震情報などの防災面でも活用されています。
CO₂と石油を置換し、地球温暖化防止に活用
石油は地下1000m~3000mの深度にあり、そこに向かって鉄管を通し汲み上げるのが現状の石油開発です。近年はその技術を応用し、地球温暖化防止につなげようという研究が進んでいます。これは、工場や火力発電所などから排出したCO₂(二酸化炭素)を地下に回収し、石油がある地層内のCO₂のボリュームを高めることで石油を採取するという方法です。つまり、CO₂と石油を地下で置き換えることで、CO₂の排出を削減しつつ、石油を獲得するという一石二鳥のサイクルが作り出せるのです。この研究は世界各国で推進されており、アメリカなどではCO₂と石油を置換し、石油を増産している地域も登場しています。
地震の情報をより早く正確に提供
地下を調べる技術を使って、地震の発生場所とされている「断層」の所在を見つけることもできます。現状の緊急地震速報は、地震が起こってから、震源地に近い地震計の数値を解析して情報提供されています。最近は、地下の断層に地層のずれを計測する機器を設置し、断層の動きを計測しようという取り組みが日本で始まっています。将来的には、地震の早期予測につながり、より早く正確な情報提供にも反映できると考えられています。このような研究には地下を調べてその情報を活用することが重要です。
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先生情報 / 大学情報
秋田大学 国際資源学部 国際資源学科 資源地球科学コース 教授 千代延 俊 先生
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地質学、石油地質学先生が目指すSDGs
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