マヤ文明の歴史は、なぜ2000年以上も続いたのか?

マヤ文明の歴史は、なぜ2000年以上も続いたのか?

南北アメリカ大陸で最も発展した文明

マヤ文明とは、紀元前1000年頃から16世紀頃まで、現在のメキシコのユカタン半島から、ベリーズ、グアテマラ、ホンジュラスといった国々のあたりで栄えた文明です。4万から5万のマヤ文字を持ち、優れた天文学や暦を用いていた、先スペイン期(スペインに侵略される前の時代)の南北アメリカ大陸で最も発展した文明の1つでした。最盛期の8世紀頃には、1都市につき6万人から10万人もの人々が、この一帯でいくつもの王国を形成していたのです。

文明の多様性による持続可能な発展

マヤ文明は、非常に洗練された石器を用いてピラミッドや都市まで築くことができる高度な技術を持っていました。また、大河流域で形成されることが多かった世界のほかの地域の文明と違って、ジャングルやサバンナ、ステップ地帯、針葉樹林など、さまざまな自然環境の中でも発展することができたという特徴も備えていました。しかし、2000年以上もの長きにわたってマヤ文明がその歴史を絶やすことがなかった最大の要因は、それぞれの王国が文明の多様性を維持し続けていたからではないかと考えられています。
1492年にコロンブスがアメリカ大陸をいわゆる「発見」してから、マヤ文明の栄えた地域はスペイン人による侵略を受けますが、それからさらに200年、1697年に最後の王国がスペインに併合されるまで、マヤ文明は存続し続けました。

挑戦しがいのある研究対象

巨大な統一王国による統治ではなく、多くの王国による多様な文化を有していたマヤ文明ならではの特徴が、持続可能な発展につながっていったと考えられています。マヤの末裔(まつえい)となる人々は今も800万人以上いて、計30のマヤ諸語を話す人々は現在も存在するなど、その文化は生きた形で現代も受け継がれています。いまだに数多くの学問的な謎を残すマヤ文明は、研究者にとって挑戦しがいのある研究対象であることは間違いありません。

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先生情報 / 大学情報

茨城大学 人文社会科学部 人間文化学科 教授 青山 和夫 先生

茨城大学 人文社会科学部 人間文化学科 教授 青山 和夫 先生

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考古学、人類学、歴史学

メッセージ

私は1986年から、中米のホンジュラスとグアテマラでマヤ文明の調査をしています。私はこれからも、マヤ文明を通じて、「私たち人類とはいったい何なのか」ということについて、勉強していきたいと思っています。特に、マヤ文明の成功した例や失敗した例から、人類がどのような方向に進むべきなのかということについて学びたいと思っています。歴史から学ぶことはたくさんありますが、「日本人とは何か」ということについても、マヤ文明を通じて考えることができると思っています。

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