人の無意識や深層心理は絵に表れる
木は人間の象徴
心理査定の効果的な手法として、「描画テスト」という検査があります。
最も手軽にできる「バウムテスト」は、相談者に1本の木を描いてもらい、幹や枝、葉の付き方からその人の置かれている状況を分析します。健康で元気な人は大きくて幹の太いしっかりとした木を用紙の中心に描き、内向的な人は用紙の隅っこに小さな木を描く等の傾向が見られます。心に何かトラウマを抱えている人は、切り株や穴の空いている木を描くケースも見られます。木に空いた穴の位置が低ければ、幼児期に受けたトラウマを表している可能性があります。このように、1本の木を描いてもらうことで相談者の心の状態がわかりやすく反映されるのです。
描きかけの絵を完成させるテスト
「バウムテスト」よりも少し複雑なテストが「ワルテッグ描画テスト」です。これは4×4センチの正方形が4個ずつ2行に8個並んだ用紙を使用します。8つの枠内にはいずれも点や曲線による意味のない抽象的な図形が描かれており、その続きを自由に描いてもらいます。また、8つそれぞれの絵にはテーマが設けられており、相談者が描いた絵を組み合わせることで、相談者の性格、感情、抱えている問題点などを分析します。
星と波を描けばその人の無意識がわかる?
「星と波描画テスト」では、相談者の無意識が顕著に表れます。星と波を自由に描いてもらいますが、1本の波線と2、3個の星で簡単に描く人もいれば、個性的な表現をする人まで千差万別です。波にはその人の感情や身体面の状態が、空には知性や思考が反映されます。私たちは星を、よく五本足の星形で表現しますが、実際の星はそのような形をしていません。つまり、星を描くときは、その人の「知識」を描いているのです。自由度が高く、相談者の個性を見るのに最適なテストです。
これら3つの描画テストを行うことで、相談者を多角的に理解することができるようになるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
茨城大学 人文社会科学部 人間文化学科 准教授 金丸 隆太 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
臨床心理学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?