よりよいマッチングを考える

よりよいマッチングを考える

安定マッチングとは

社員の部署配属を決めるような場面を考えてみましょう。社員はどの部署により行きたいか、部署もどの社員により来てほしいかの希望を持っています。ここでは、社員はどこかの部署には配属されたい、部署も定員が許す限りはどの社員でも受け入れたいと思っているとして、このような状況で社員と部署のマッチング(配属先の組み合わせ)について考えてみましょう。
マッチングによっては、次のようなことが起こっているかもしれません。ある社員は配属された部署よりもほかに行きたい部署があり、さらにその部署にも欠員がある、あるいはその部署には欠員はないが、そこに配属されたほかの社員とその社員を入れ替えたいとその部署も思っている。こうしたことが起こらないマッチングを安定マッチングといいます。

安定マッチングを実現する方式

次の方式で配属先を決めると安定マッチングの一つを実現できることが知られています。まず、各社員が第1希望の部署に応募します。各部署は、応募者のうち上位から定員まで(応募者が定員に満たない場合は、すべて)の社員を仮配属として受け入れ、それ以外の社員を断ります。次に、断られた社員のみ第2希望の部署に応募します。各部署は、新たな応募者と前に仮配属とした社員のうち再度上位から定員まで仮配属とする社員を選び直し、それ以外の社員を断ります。新たに応募する社員がいなくなるまでこの手順を繰り返し、最後の時点で仮配属となっている部署を最終的な配属先とします。この方式は受入保留方式と呼ばれています。

よりよい制度を作るために

世の中にはさまざまな制度があり、社会はそれを利用することで動いています。よりよいマッチングの制度を考えることも経済学の重要な研究対象です。マッチング制度の中にもさまざまな方式があり、ある方式が優れているからと言って、ほかの場面でそのまま利用できるとは限りません。そのため、さまざまな実社会の問題への応用をめざして、日々、制度の設計や改善が研究されています。

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東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 准教授 森本 脩平 先生

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