美しい正多面体上に表れる点の特徴とは?
少ない距離の種類で点を置くには?
2次元の平面に4つの点A、B、C、Dを置くことを考えます。このとき点と点の距離は、AB、AC、AD、BC、BD、CDの6つあります。4点をバラバラに置くと、距離の種類も6つになりますが、うまく配置することで、距離の種類を少なくできます。例えば、4つの点を正方形の頂点に配置すれば距離の種類は辺と対角線の2種類だけです。
このように、表れる距離が少なくなるような点の配置についての研究が行われています。2次元で距離が2種類になる、最も多い点の配置は「正五角形」です。この問題の証明には、組み合わせの考え方を使います。4つの点の置き方は無限にありますが、距離が2種類しかない場合の組み合わせは有限です。その一つずつに対して、対応する配置を考えていくことで分類が完成します。
3次元で距離が5種類の最適解は?
3次元の点の配置についても、組み合わせを全パターン検討する方法で距離が4種類の場合までは証明が進んでいます。5種類の場合の最適解を求めるには、現在のコンピュータを使っても計算に莫大な時間(数年以上?)がかかってしまいます。そこでアプローチの方法を変えて、すでに証明が終わっている「距離が4種類の8つの点」が構造に必ず含まれていることを利用して、距離が5種類の場合は「正十二面体の頂点の20点が最適」であることが証明されました。
正三角形の格子に点を配置する
最初に説明した正五角形のように、2次元で距離の種類が少なくなるような点の置き方には正多角形があります。一方で、一般には正三角形の格子の上に点を置いたとき距離の種類が最も少ないきれいな点の配置になることが予想されており、その証明が取り組まれています。現段階では距離が6種類の場合まではわかっているので、これを7種類の場合に進めようとしています。さらに、距離の種類がn個のときの構造を仮定して、それがn+1個でも成り立つことを証明する「数学的帰納法」で、無限の数まで証明できないか研究されています。
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