土木とは、まさに日本の国づくり!

土木とは、まさに日本の国づくり!

土木がめざすもの

あなたは「土木」と聞くと、道路工事や橋の建設を思い浮かべるかもしれません。土木というとそのような「もの」に目がいきがちですが、実はもっと大きな意味があります。そのような1つひとつのものづくりを通して、国土をつくり、国をつくっていくことそのものが土木なのです。そしてその目的は、世を治め困っている民を救う、「経世済民(けいせいさいみん)」です。土木とは、この国をよくしていくためにはどうすればいいかを考えて実践する学問なのです。

地震による被害を防ぐのも土木

具体的な例を見てみましょう。例えば、南海トラフ地震と呼ばれる大きな地震がくると言われています。この地震が本当に来た場合、地震による建物の倒壊や、津波によって多くの被害が出るはずです。その場合の日本の被害総額は、巨大な地震が発生した場合は少なく見積もっても1,400兆円と言われています。しかし適切な対策をとることで、被害は減らすことができます。このような災害に対し、どのような対策をとればいいかを考えるのも、土木の重要な役割なのです。その意味では、土木は防災の考え方と近いところにあります。

東日本大震災から考え直す日本の土木

また、日本の交通網が首都圏に一極集中していることも、土木の考えるべき課題です。首都圏に交通インフラが集中することで、人口が首都圏に集中し、結果として地方が過疎化し、疲弊していきます。実際、東日本大震災で被災した東北の沿岸部には、新幹線も通っておらず、高速道路もありませんでした。そこへ大津波が襲い、さらに痛手を負ったわけです。そこで、改めて東北の交通が見直され、復興道路がつくられることになりました。このように、社会の中にある偏りを是正するマネジメントも、土木の役割です。
ちなみに、東北の自動車道には、冬になると凍結防止剤がまかれます。この凍結防止剤が鋼を腐食させ、コンクリートを劣化させる原因になります。そのような凍結防止剤に強い道路をつくる技術を開発するのも、もちろん、土木の役割です。

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横浜国立大学 都市科学部 都市基盤学科 教授 細田 暁 先生

横浜国立大学 都市科学部 都市基盤学科 教授 細田 暁 先生

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土木工学、地震工学

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メッセージ

あなたが生きるのは、激動の時代に違いありません。その激動の時代を生き延び、闘っていくために、ありとあらゆる能力を磨いてほしいと思います。勉強だけでなく、スポーツも芸術もです。
そして一番大事なのは、感性を磨くことです。感性を磨くためには、一流のものに触れて、感じる機会を多く持つことです。最初はその価値がわからなくても、一流のものに触れることによって感性はついてきます。心がふるえるようなものに、たくさん触れておいてください。感じることがすべての基礎です。

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