リハビリから義肢装具の開発まで、幅広く活躍する作業療法士
心身のリハビリテーションの専門家
作業療法士とは、人々が健康を保ち、社会に参加できるよう、心身のリハビリテーションを行う医療職です。対象は身体に障がいがある人や高齢者、年を取って徐々に心身の機能が衰える老齢者、進行性の病気の人、そして精神に障がいがある人も含まれます。作業療法士は、こうした人たちが自分のやりたいことを自分でできるよう、心身の働きを回復するためのサポートをします。その手段として利用するのが、日常の作業です。
一人ひとりに合ったサポートを
患者さんによって心身の状態が異なるため、作業療法士は個々の問題点を洗い出して、対策を練ります。上腕二頭筋が弱い人の場合は、のこぎりで板を切る作業を通して鍛えることもあります。また、片手での調理、車椅子からベッドなどへの乗り移り、洋服の脱ぎ着などの作業を指導するほか、指先でつまむ動作が難しい患者さんには、手首の動きだけでつまめる自助具などを提案することも作業療法士の役割です。
精神科の患者さんの場合も、状態に合わせてサポートします。例えば、人と接するのが難しい患者さんの場合は、1対1で個人と接する訓練を行い、慣れたら集団でゲームや調理に取り組みます。
義肢や電動車イスの開発・改良にも貢献
1950~60年代、サリドマイドの薬害によって手足に障がいのある子どもが生まれました。作業療法士は、彼らが学校生活を送れるよう義肢装具の開発に携わり、それらを使う訓練を実施しました。また、あごでスイッチを入れて動かせるよう電動車イスを改良し、学校の先生に対応方法を伝えるなどしてサポートしました。
その後、筋肉の電気信号を拾って動かす義手の開発にも関わりました。最近、肩から腕のない女性が肩甲(けんこう)骨を動かすことで義手を操作し、バイオリンを演奏して話題になっています。また、装着部分のにおいを改善するために、抗菌・消臭効果のある素材を開発するなど、作業療法士は義肢を使う人たちのニーズを掘り起こして、その発展に貢献しているのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪人間科学大学 保健医療学部 作業療法学科 教授 古川 宏 先生
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