「誰もが自分らしく暮らせる社会」をコーディネートする
誰もが自分らしく暮らす社会をつくる
地域福祉とは、誰もが自分らしく暮らす状態を可能とする地域社会をつくろうとする学問です。日本国憲法は第13条で幸福追求権、第25条で生存権の保障をうたっています。しかし、残念ながら日本社会においては外国人に対するヘイトスピーチや障がい者や生活保護受給者へのバッシングが後を絶たず、高齢者や障がい者、外国人、LGBTなどの社会的立場が弱いマイノリティが生きづらい社会となっています。
互いの違いの理解・尊重の難しさ
ダイバーシティ(多様性)という考え方が近年注目されつつあります。ダイバーシティとは、民族といった文化的背景、障がい、性的指向、宗教など人や集団、地域の違いに相互が気づき、理解・尊重し、社会的不利な状態や相互の対立を解消していこうとする思想です。
では具体的には多様性が尊重されるためには何が必要でしょうか。まずは、介護や就労支援などその人の特性に合わせた生活支援が必要です。福祉施設、公園などのコミュニティ施設整備も子どもから高齢者まですべての人の幸せに貢献します。しかし、最も大切で、難しいのが人々の意識、違いを認め合う人と人とのつながりづくりです。
まちの多様性をコーディネートする
いま、人と人とのつながりそのものが弱くなっています。人と人とのつながりが豊かな地域には多くのグループが存在します。町内会や子ども会、スポーツクラブなど地域の集まりを見直す必要があるでしょう。ボランティアグループやNPO活動の活発化も必要です。お茶会など気軽なイベントが互いを理解するきっかけになります。また、本人同士が集まる場も大切です。
地域福祉は行動の学問でもあります。地域は時に少数者を排除しかねない排他性も兼ね備えています。誰もが自分らしく暮らせる社会づくりには専門職の力が重要です。互いの違いを尊重しながら、時に必要な生活支援を行いながら、問題解決にむけて互いが協力しあうためにどのようなコーディネートが必要なのか、福祉専門職の力量が問われています。
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先生情報 / 大学情報
大阪人間科学大学 人間科学部 社会福祉学科 准教授 石川 久仁子 先生
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