人の動きを数値化する技術 モーションキャプチャ
ゲーム制作に欠かせない技術
モーションキャプチャ技術は、体の各部に「マーカー」という印をつけて位置を測定することで、CGと現実の人の動きを連動させるものです。現在ではゲームや映画などの映像制作において、なくてはならないものとなっています。マーカーの位置情報を数値化して、動作を3次元のデジタルデータとしてとらえる技術なので、人間の動きのCG化やエンターテインメント目的以外の、さまざまな分野でも利用可能です。
有名スポーツ選手の動きをなぞる
モーションキャプチャは元々医療分野で使用されていました。姿勢の変化などを3次元データとしてとらえることが、効果的なリハビリに役立てられると考えられたのです。それがさらにCGへの応用ができるようになったことで、人の姿勢・動作がより意識しやすくなりました。
モーションキャプチャの研究は、スポーツのパフォーマンス向上にも利用されています。例えば、プロ野球の有名ピッチャーの投球フォームをCG化すれば、自分のフォーム改善に役立ちます。さらに、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を応用することで、プロアスリートと自分の動きを重ね合わせて比較することなども可能です。
また、スマホを見るときや車の運転をするときなどの姿勢を数値化して、そこに筋肉に走る電気を測定する「筋電図」から得られるデータを合わせると、姿勢による体への負荷を調べることもできます。
人のあらゆる動きをトレース
モーションキャプチャには、黒の全身スーツにマーカーをつけて行う「光学式」のほかにも、ジャイロセンサを利用する「慣性式」もあり、現在も日々進化し続けています。近い将来には、マーカーなしで人間の位置情報を得られるテクノロジーが一般化すると考えられます。
究極的には、日常のあらゆる動きを常にデータとして取ることが可能になるでしょう。担い手のいない伝承技術の動きを、デジタルデータとして保存するということも行われるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
愛知工業大学 情報科学部 情報科学科 准教授 松河 剛司 先生
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