講義No.09597 看護学

終末期の患者さんと最期まで向き合う、緩和ケアの必要性

終末期の患者さんと最期まで向き合う、緩和ケアの必要性

患者さんとともに歩み、苦痛を取り除く

緩和ケアとは、苦しむ患者さんの苦痛を取り除くことです。病気の初期段階から終末期の患者さん、すべてが対象となります。看護師はあらゆる患者さんにとって、緩和的存在であることが求められます。患者さんの痛みの状態に合わせて薬を投与したり、安楽な姿勢を整えるのはもちろん、日々会話をする中で、その人がどんな苦痛を抱え、痛みのもとはどこにあるのかを探っていきます。患者さんと二人三脚で歩み、ともに苦しみを和らげる方法を見つけ出す、それが緩和ケアです。

苦痛を見極め適度な距離で接する

終末期の患者さんの苦痛は4つに分けられます。身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛の3つに加えて、人生の意味への問いや死生観に関するスピリチュアルペインの計4つです。人生の終わりを前にしたとき、残された家族のことが心配になったり、なぜ自分がこんな目にあうのかと思ったり、それぞれの苦悩があります。その不安な気持ちを人にどう伝えたらいいか、わからない場合もあるでしょう。そうなると、看護師に対して素っ気ない態度を取ってしまうこともあります。しかし、看護師はそれを表面的にとらえず、その態度の裏にはどんな心の状態があるのかを考え、適度な距離で対話を試みます。患者さんが表出するすべての態度をしっかりと受けとめることで、看護師は患者さんから信頼してもらえるようになるのです。

人生の最期まで生きることを支えるケア

終末期の患者さんは、治療の選択や療養場所など、自分の意思を決めなければならないことがあります。看護師は、患者さんや家族の望みを一緒に整理して考え、最期の時間をどう生きたいかを決定するお手伝いをします。かつては、生前から死を考えることはタブー視されがちでしたが、近年は、自分が人生の最期をどう生きたいのか、あらかじめ家族や親しい人と話し合っておくべき、という考えが広まりつつあります。その実現のためにも、患者さんと最期まで向き合う緩和ケアが欠かせないのです。

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聖徳大学 看護学部 看護学科 准教授 西田 三十一 先生

聖徳大学 看護学部 看護学科 准教授 西田 三十一 先生

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メッセージ

看護師は、実際の現場ではさまざまな年代の患者さんと接します。患者さんと関わるときには、看護師一人ひとりの人生観、価値観が問われます。看護師をめざす人は、高校生のうちからいろいろなことに興味を持ってチャレンジして、人と関わる体験をして感性を磨いておきましょう。多くの人と接することで視野も広がり、人としての幅も広がるでしょう。
看護師の仕事で必要なのは、「患者さんとともに歩む姿勢」です。易しいことのように思えるかもしれませんが、とても難しく、やりがいのある仕事です。

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