人が生きて自己実現するための権利を守る、「ソーシャルワーカー」

人が生きて自己実現するための権利を守る、「ソーシャルワーカー」

弱い立場にある人の問題を解決する仕事

「社会福祉士」とは、ソーシャルワーカーと呼ばれる社会福祉業務を専門とする人材になるための国家資格です。社会的に弱い立場にある人、困っている人が直面している問題に対して、制度や社会資源、ボランティアなど、さまざまな方法によってその問題を解決に導くのがソーシャルワーカーの仕事です。
例えば、不登校の子どもに対し、その子の心の内面をケアするのはカウンセラーの役割ですが、その子の周囲にいる友だちや先生、家族などに働きかけて不登校の原因を除去することをめざすのはソーシャルワーカーの役割です。

高齢者への虐待問題への対策

高齢化が進む現代の日本では、家族による高齢者への虐待が問題となっています。何らかの原因によって無職となり、親の貯金や年金で暮らしている人が、親が倒れ、高齢で身体が不自由になると介護しきれなくなり、感情的になって虐待を行ったり、必要なお金を使わせなかったりといったケースがあります。ソーシャルワーカーからの働きかけによって、被害者だけでなく、虐待をした家族も何らかの形で自分のお金を得られるようにするなどの支援が必要となります。収入を得られずに親の貯金や年金を頼っていることが、対人関係での問題や心の病の原因となっていることもあるので、解決に困難をともなうことも少なくありません。

ソーシャルワーカーに求められる役割とは

ソーシャルワーカー自身が何か社会資源を持っているわけではありません。ソーシャルワーカーは、状況に応じてさまざまな方面に依頼して、問題を解決するためのチームを作ってマネジメント(まとめ役)を行う、一種のエージェント(代理人・代弁する人)のような役割を担う存在です。そこで大切になるのは、問題を抱える本人を決して批判することなく、話によく耳を傾け、信頼関係(ラポール)を築き、その人の力を引き出し、ともに問題解決をめざそうという姿勢です。「人が生きて自己実現をしていくための権利を守る仕事」、それがソーシャルワーカーの役割なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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聖徳大学 心理・福祉学部 社会福祉学科 准教授 須田 仁 先生

聖徳大学 心理・福祉学部 社会福祉学科 准教授 須田 仁 先生

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社会福祉学

先生が目指すSDGs

メッセージ

悲しいことが起きています。すべての子どもには、生きる権利と育つ権利があるにもかかわらず、虐待やいじめが、毎日と言っていいほどニュースになっています。さらに、高齢者を狙った詐欺事件なども後を絶ちません。お年寄りは、現在の日本の繁栄を築いてきた素晴らしい先達(せんだつ)です。
今求められているのは、子どもたちやお年寄り、障がいのある人の声に耳を傾け、寄り添い、代弁する人です。人と社会をつなぎ、その人を支え、そして守る、そんな福祉分野の専門職の人材を育てたいと思っています。

先生への質問

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