熊谷市はなぜ暑い? ~猛暑が起きる条件とは~
熊谷が暑かった年
埼玉県熊谷(くまがや)市は2018年7月23日に、41.1度という日本最高気温を記録しました。このような猛暑が起きる条件とは何でしょうか?
2007年8月16日に、熊谷市が40.9度を記録したときの状況を検証した研究があります。まず前提として、その年の8月は日本全国で暑い日が続いていました。熊谷では、40.9度を記録した16日の半月前から、雨のない日が続いていました。さらにその年はラニーニャ現象といって赤道東太平洋付近の海面水温が平年より低くなる現象が起こっていたのです。ラニーニャ現象が起こるときは、統計的に日本付近は猛暑になることがわかっています。そうした地球規模の現象の影響で、日本全体が暑くなり、そのうえ天気のいい日が何日も続き、熱が蓄積されていたことで猛暑となったのです。
海風の吹かない熊谷
加えて、熊谷は内陸部にあるので、海の影響が少ないことも暑さの要因のひとつです。東京のように海に近いところは、天気がいい日は日中が海から陸へと吹く海風、夜間が陸から海へと吹く陸風となる海陸風の影響を受けます。日中の海面は陸面よりも温度が低いので、日中に海風が吹くと、地上の温度は下がります。ですから東京では、海風が吹くと温度が下がるのです。しかし熊谷は、東京湾から70~80キロ離れており、最高気温をむかえる午後3時頃までに海風が入ってこないことが多いので、気温が下がりません。
フェーン現象が海風をブロック
さらにその日はフェーン現象が起こっていました。フェーン現象とは、山の向こうから吹いてきた風が山を越え、暖かく乾いた下降気流となってその土地の気温を上げる現象です。その日の関東付近は北西寄りの風が入りやすい気圧配置となっていました。その影響で日本海からの風が山を越えてフェーン現象が起き、関東地方の気温を上げたのです。ちょうどさいたま市のあたりで、海からの風と山からの風がぶつかる形になり、涼しい海風もブロックされ、熊谷では気温が下がらなかったという事情も重なったのです。
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先生情報 / 大学情報
立正大学 地球環境科学部 環境システム学科 教授 渡来 靖 先生
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