人類が滅亡しかけたのは噴火のせい? 知っておきたい火山の脅威
かつて人類が滅亡しかけた大噴火があった?
日本では御嶽や阿蘇、箱根など各地で噴火が頻発しています。しかし、過去にはそれらとは比べものにならないほど深刻な被害をもたらす大噴火が世界中で起きていました。例えば7万年から7万5千年前、インドネシアのカルデラ火山が大噴火を起こし、人類が滅亡しかけたという説があります。人間のミトコンドリアDNAを調べると、5万年前から10万年前の間のある時期に人口が数千人に減ってしまったということがわかっています。もしかしたらこの人口の減少は、噴火の影響が大きかったのではないかと考えられているのです。
火山災害で消えた幻の縄文文化
九州では地中に、「アカホヤ」と言われるオレンジ色の火山灰の層があり、鹿児島県の南部で分厚くなって、やがて火砕流に変わっていった形跡が確認できています。このことから、縄文時代に屋久島あたりの海底火山が大噴火を起こしたと考えられますが、興味深いのは火山灰が堆積している層の上と下では出てくる縄文土器の形が違うらしいということです。大噴火によって、九州最南端で暮らしていた縄文人たちは壊滅的な被害を受け、一旦途絶えてしまったという説があります。噴火によって幻となった縄文文化があったという可能性は、自然災害の恐ろしさを教えてくれています。
地震だけでなく、火山災害にも備えよう
日本には小規模な噴火だけを繰り返し、今後、大噴火を起こすとは想定しにくい火山がある一方、いつ深刻な噴火が起きてもおかしくない火山もあります。また火山は、それぞれ火山灰や火砕流の出し方などに特徴があり、火山ごとに作られている被害を想定した地図「ハザードマップ」の中身は異なっています。
多くの人は大地震を警戒していますが、もしどこかで大噴火が起きれば地震の被害を上回る、桁違いの大災害が起こる可能性もあります。大昔とはいえ、かつて人類が滅亡しかけるほどの大噴火があったことも、火山国に住む私たちは忘れてはならないのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 地理環境学科 教授 鈴木 毅彦 先生
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