データをうまく活用できれば、スポーツはより魅力的になる
躍進の裏にはデータがあった
近年、スポーツとデータの密接な関係に注目が集まり、プロスポーツの分野ではデータの収集と分析に多大なコストが割かれています。メジャーなところでは、バレーボールやラグビーの日本代表が国際大会で躍進できたのも、データを活用した戦術分析やトレーニングのたまものです。ただし、球技スポーツの戦術面でデータを活用するにもセンスが問われます。目的意識がなくただ膨大なデータを眺めるだけでは、それに振り回されてしまうからです。したがって優れた指導者やコーチほど情報の取捨選択に長け、データは戦術や自らの理論の裏付けになると考えています。
故障を避けられるのが最大のメリット
一方、トレーニング面においては比較的、データを活用しやすいと言えます。例えば野球の盗塁成功率を上げたいなら、単純な走力だけでなくスタートから10メートルの加速力が必要になります。そこで、加速に用いる足首から膝、股関節にかけての脚伸展パワーを計測し、その結果を受けて必要な部分の筋力を高めるトレーニングを行うのです。データを用いたトレーニングというと「効率よく」「ピンポイントに」といった印象がありますが、実は故障を避けやすくなることが最大のメリットです。客観的に体の状態を知ることで、ギリギリまで追い込むことができるからです。
データを収集し共有することは、選手の流動性も高めます。競技成績が今ひとつであった選手も、データ的に特筆すべきものが見られれば、ほかのチームへの移籍はもちろん、別の競技で才能が花開く可能性もあります。
データはスポーツ観戦も変える
またデータがもたらしたもうひとつの恩恵として、スポーツ観戦の幅を広げたことが挙げられます。野球であればピッチャーが投げたボールの回転数や軌道、バッターの打球角度などを可視化することで、新たな面白さを生み出しました。データを使い競技の魅力をうまくアピールできれば、日本ではまだマイナーな競技も注目されるようになるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
立正大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 永田 聡典 先生
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