「モデリング」で環境問題の解決に取り組む!

「モデリング」で環境問題の解決に取り組む!

環境への影響度合いを可視化する

私たちは様々な問題に直面しています。その中でも、世界的に大きな問題になっているのが地球温暖化とそれに伴う気候変動でしょう。今を生きる私たちだけでなく、これからの世代にも影響を与える難問ですが、その解決ツールとして重要な役割を果たしているのが「モデリング」です。具体的には、物質やエネルギーの移動などを数式にあてはめて一般化(モデル化)し、シミュレーションすることです。そうやって、環境の変化や影響の度合いを目に見える形にして対策を考え、合意形成を図っていきます。気候変動に限らず、いろいろな社会問題の解決にモデリングは生かされています。

どの要因を選択しどう組み合わせるか

例えば、気候変動による豪雨の増加と、それに伴う河川の氾濫も懸念されています。その際、雨量が2倍になれば河川の流量や水位が2倍になる、というような単純なものではありません。実際は、降水の履歴や気温、植物の分布など様々な要因が関係します。それらを考えながらモデル化していくのです。そこに科学的に信頼のおける雨量など気候変動の予測値をあてはめ、どんな状況が起こるかを計算します。気候変動一つをとっても、省エネや再生エネルギーの普及などの様々な緩和策、治水や渇水対策、生態系の保全といった適応策が進められています。モデリングの研究が進むことでより有効な対策が打ち出せるようになるでしょう。

モデリングへの期待

そもそもモデルはある現象の模倣(模型)です。特に地球環境のように対象が複雑だと、モデルの精度を高めるには多くの難しさが伴います。とはいえ、気候変動の問題では世界中の多くの研究者が各々のモデルを提案して、エネルギー消費など人間活動が温暖化を加速させることを明らかにしてきています。そして、それらの科学的根拠によって排出量削減などの機運が高まりました。モデリングの研究者たちの日々の努力が、私たちの生活や社会を脅かす問題の解決につながることから、モデリングへの期待はこれからますます高まるはずです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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叡啓大学 ソーシャルシステムデザイン学部 ソーシャルシステムデザイン学科 教授 下ヶ橋 雅樹 先生

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メッセージ

数学が得意でも「将来本当に役に立つのか?」と疑問を抱く人はいると思います。しかし、大学に入ると「なぜ勉強するのか」が理解できるようになります。理系の人にとっての地歴や公民も、社会人になればその必要性を実感します。高校の勉強にはそれぞれ意味があるのです。「どの教科も全力で頑張れ」と言うのは簡単ですが、なかなかそうはいきません。ただ、「これにも勉強する意味がちゃんとある」という思いを持つかどうかで違ってくるものです。そのことをぜひ、知っておいてください。

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2021年4月に開学した叡啓大学は、未来を啓(ひら)き、新しい社会を描くチェンジ・メーカーを育成する22世紀型大学です。1学年定員は100名、全ての授業でアクティブ・ラーニングを実施し、全科目を日英2言語で開講(卒業に必要な124単位のうち62単位を英語で履修)しています。SDGsを意識したリベラルアーツ科目と、デジタルリテラシーや思考力を身につけ、世界で通じる「国際教養力」を養います。実社会のリアルな課題に挑む課題解決演習(PBL)やインターンシップ等では、社会を動かす「実践力」を養います。