日常的に使う意外なものに潜む、化学物質のリスクに注意
化学物質のリスクを検証
あらゆるものには表と裏、メリットとデメリットが存在します。現代の社会生活に欠かせない化学物質も例外ではありません。その代表的な例が2000年頃に大きな話題となったダイオキシンや環境ホルモンといった物質です。そして近年は自然界にゴミとしてさまざまな化学物質が流入する現象も問題となっています。それにともない、そういった物質のリスクを検証する研究も活発に行われています。
廃棄された化学物質がもたらすリスク
例えば近年は、使い残した医薬品が自然界に流入する問題が取りざたされていますが、これによるリスクは自然界の菌が抗菌薬に対する耐性を持ってしまう可能性が高いことです。以前、薬は医者に処方されて初めて手に入るものだったのに対し、現代ではドラッグストアなどで手軽に手に入ります。そのため、ゴミとして排出されるケースが増えてきました。
また、もうひとつの例が、プラスチックが細かく砕けたマイクロプラスチックという物質です。これが海に広がった場合、海中の毒物を集めてしまう性質があることが検証されています。これをプランクトンが誤食し、そのプランクトンを食べた魚を介して人間の体内に入ってきてしまう可能性も否定できません。したがって、いち早くそのリスクを検証し、法的規制によってリスクを軽減するという対応が必要です。
生活用品に含まれる防腐剤にも注意
日常的に使う生活用品の中の防腐剤も、水道水に含まれる塩素と結合することで、ダイオキシンに似た物質に変性します。毒性を持つこの物質には遺伝子損傷のおそれや、発がん性物質が体にたまりやすいなどの中長期的なリスクが潜んでいます。防腐剤は日焼け止めクリームや紙幣にも使われていることが明らかになっています。
すぐに体に異変が出る急性の作用こそないものの、変性した物質は体に悪影響を及ぼします。使用方法や取り扱う頻度に十分に気をつける意識が必要となってきます。
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先生情報 / 大学情報
岩手大学 人文社会科学部 地域政策課程 教授 寺崎 正紀 先生
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