生産コストを正確に把握し、生産効率を高める会計とは?
給料が生産コストとは限らない
製造業では生産に要したコストを正しく計算する必要があります。しかし、企業によっては生産現場と経理が切り離されていて、正しく計算できていません。例えば生産に携わる社員の給料は、企業から見たら生産コストとなります。しかし正確な生産コストは、製品を作るために社員が働いた生産時間を見なければわかりません。経理が給料の額面でコストを計上すると、正確なコストを反映していないことになります。企業の存在意義である社会性、利潤性、持続性という3つを満たすためには、コストと生産時間の効率化を図ることが重要です。しかし現場を調査すると、うまくいっていない事例が多くあります。
IoTを生産現場に導入する
そこで、生産時間を正確に把握するためにIoT(モノのインターネット)を導入する工場もあります。IoTを生産現場で利用すると、生産や流通の工程をタイムリーに測定してデータ化することができるからです。人間が働いている現場では、ロボットとは違い、どうしても生産時間にばらつきが出てしまいます。そのため、作業能率が悪くなると時間単位のコストが高くなり、利益が少なくなります。そうなると、生産現場では作業能率を上げようと考えます。IoTでコストを正確に計測するための生産管理や情報化の方法を考えていくことが、今後の研究に求められています。
国によって違う会計システム
また、ニーズを把握して会計に必要な情報を調整する、というアプローチも必要とされています。会計には各国の法律や習慣も関係してくるので、会計に必要な正確な情報を集めるためには、組織文化と会計情報システムの関係に目を向ける必要もあるのです。
例えば海外進出している日本の企業が、海外拠点で日本の会計システムを使うと、各国の法律や習慣に合わなくなってしまいます。そのため、海外拠点ごとに独自の会計ソフトで業績報告書を作成するという方法をとる企業が多く、全体像の把握には拠点間の調整が必要なのです。
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中央大学 国際経営学部 国際経営学科 教授 河合 久 先生
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