ケアの質向上をめざすー多職種協働のチームビルディングー
チーム医療から多職種協働へ
連携教育(IPE=インタープロフェッショナル・エデュケーション)という概念は、保健医療福祉分野において多職種協働で活動するための考え方です。イギリスで作られたCAIPEという組織がきっかけとなり、2000年頃から使われるようになりました。
日本でも、保健医療福祉分野で長年行われてきたのは、「各専門職が専門性にそった役割分担をする」チーム医療でした。医師がリーダーとなることがほとんどでした。しかし、ケアの質を向上させようとか、患者のいる地域全体を対象にQOL(生活の質)を上げていこうとすると、専門性だけでは十分ではありません。地域住民を含めた多様な人々(患者も含む)と力を合わせることが大切です。
チームとして、どう支援するかを学ぶ
そもそも、チームはどうやってつくればいいのでしょうか。考え方も専門性も違う人たちが集まった時に、目標を設定して患者や地域のために働くにはどうすればいいのか、誰がマネジメントするのかといった課題に直面します。チーム内にコミュニケーションの苦手な人がいる場合もあります。そこで、専門性を発揮するだけでなく、チームとしての新しい価値や支援体制をつくるための方法論が必要となり、研究・教育が進んでいます。
専門性プラス連携・協働する力
多職種が協働して活動していくための学び、つまり連携教育は、ごく基礎的なコミュニケーションから始まります。偏見を持たずに人の話をきちんと聞くことが原点で、段階を追って学習を進めることが重要です。これらのスキルは、保健・医療・福祉という分野に限らず、社会のさまざまな現場で役立ちます。連携教育を経てそれを実践できる人とは、「自分の基礎的な力をしっかり持ったうえで、限界をも知り、まわりの人と共にものごとを解決していける人」だと言えます。
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先生情報 / 大学情報
名寄市立大学 保健福祉学部 教養教育部 准教授 今野 聖士 先生
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