「早寝・早起き・朝ごはん」はなぜ良いの? 時間栄養学から考える

食事と血糖値の相互関係
「ごはんと食べると眠くなる」とか「食事の時は先に生野菜を食べる(ベジファースト)」など、食事に関する情報があふれています。これらのキーワードとなるのは「血糖値」です。血糖値は血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度のことで、食前と食後で変動します。健康な人は食事をすると血糖値が上がり、時間経過とともに緩やかに下がっていきます。1日3食だとこの山が3回になるのが標準的です。
食事の時間を気にしてみよう
1日は24時間とされていますが、実は人間が感じる1日の体内時計とは30分ほどのズレがあります。ズレが蓄積するとだるさや倦怠(けんたい)感など、時差ぼけのような状態につながります。人間は起きて太陽の光を浴びることで体が朝と認識し、ごはんを食べることで血糖値が上がり活動的になります。それが30分のズレをリセットして、体のリズムを整えているのです。
健康維持のためには「早寝・早起き・朝ごはん」とよく言われますが、夜から朝までの絶食時間は10時間程度が理想とされています。夜遅くにドカ食いをすると絶食時間が短くなります。朝ごはんを抜くと絶食時間が長くなり、昼ごはんで血糖値が急激に上がり、そして急激に下がります。これを血糖値スパイクと呼び、それが続くと糖尿病などにかかる可能性が高まります。
「ベジファースト」てホント?
ごはんを食べると眠くなるのは、血糖値が急激に下がるためです。空腹時に炭水化物を大量に食べると血糖値スパイクが起こりやすく眠気を感じます。それを防ぐには血糖値の上昇下降を緩やかにする必要があり、食物繊維が多い野菜やタンパク質である豆製品、乳製品などを一緒に食べることが大事です。「ベジファースト」もこの考えに基づくものですが、先に生野菜をたくさん食べなくてはならないわけではなく、食事の前に1杯の野菜ジュースや牛乳、野菜入りのみそ汁を飲むだけでもよいのです。
このように「いつ食べるか」をテーマに健康によい食事を考えるのが時間栄養学です。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

酪農学園大学食と健康学類 管理栄養士コース 准教授杉村 留美子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
栄養教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?