税金はみんなの共通の財布~みんなが納得できる税負担とは?~
税金の集め方や使い方を考える「財政学」
ノートが欲しいとき、100円払えば100円のノートが手に入ります。ところが税金の場合、100円出したからといって100円分の行政サービスが手に入るわけではありません。そこが、普通の経済活動と税金との根本的な違いです。
「みんなからお金を集めて、みんなで使うものを買う」、それが税金の本質です。所得税や消費税などで集めた税金を、公共事業や社会保障などに使います。税金をどう集め、どう使えば国民は納得できるのかを、経済、政治、歴史など、複合的な視点で研究していくのが「財政学」です。
その税金、納得感ありますか?
税金には納得感が不可欠です。例えば消費税は、収入のない子どもや年金生活者も払うことになります。その一方で、特定の業種に重い税をかけたり逆に免除したりといった、負担の仕方にもさまざまな工夫がされています。地方の高速道路や文化施設など、経済的に損失が出ても政治的、文化的に必要な場合もあります。
しかしガソリン税を引き上げて暴動が起こった国もあり、社会的に必要な税金であっても納得感を得るのは容易ではありません。日本では膨らむ社会保障費の財源として消費税率のアップが議論されていますが、増税には国民の抵抗感が強いため、財政赤字が膨らむ一方です。
税に対するスウェーデンと日本の意識の違い
税率が高いにもかかわらず納得感が高い国もあります。国際的な価値観調査(ISSP)によると、スウェーデンの国民は「税金は共通の貯金で、いつでも必要なときに必要なサービスを受けられるから、税率が高くてもいい」という意識を持っています。一方、日本では税に対する不満や不公平感が強いのが現状です。
「ふるさと納税」も、地方を応援するのではなく、返礼品が目当てというおかしなことになってしまいました。政治・経済・歴史など、複雑な要因が絡み合う中で、今の日本でどのような税のあり方がふさわしいのかが研究されています。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 経済学部 経済学科 准教授 吉弘 憲介 先生
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