不況時の政府はどうお金を使い、どんな効果を上げるのか
政府による支出の効果
コロナ禍のように経済が停滞してGDP(国民総生産)が下がれば、企業や人々は支出を控えて多くの人の所得が下がったり、仕事を失ったりします。こうした不況時に公共の建物を建設したり、人々の住宅購入を助けたりと、企業や国民に代わって政府がお金を支出し、不況を改善しようとする政策を「マクロ経済政策」といいます。政府の支出といってもその財源は国民から支払われた税金ですから、マクロ経済政策は常にEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)、つまり「合理的根拠に基づいた政策立案」でなければなりません。
政府支出とGDP
マクロ経済政策の効果は、政府が増やした支出額とGDPの変動を調べることで推計できます。しかし、不況はある程度長引くことが一般的ですから、景気対策のために政府支出を増やしてもすぐにはGDPは改善されません。あるいは不況の終わり頃に支出を増やすと、その効果によってGDPが改善されたのか、それとも市場の回復によるものなのかが見極められません。そこで視点を変えて、例えば道路建設や住宅支援策など、景気回復のためではなく、それぞれの目的に応じた長期的な計画に基づく政策に着目してみると、政府支出とGDPとの関係がより客観的にとらえやすくなります。
1%のGDP低下が
マクロ経済政策には、支出を増やす財政政策だけでなく、日本銀行の金利などを変更する金融政策もあります。また財政政策の中にも道路政策などのインフラ整備を含めてさまざまな項目があるため、それぞれの政策がGDPにどの程度影響するのかを推計することは簡単ではありません。しかし、仮に1%のGDP低下であっても、その影響によって数千、数万という人々が収入や仕事を失うことにつながります。GDPや失業率、家計支出やインフレ率など、さまざまなデータを分析して、EBPMの視点に立って実際に行われたマクロ経済政策の効果を考えることは、不況の影響を受ける人を少しでも減らすことにつながるのです。
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