「考えること」を考えて、より「賢く」考える力を身につけよう!
認知科学によって賢く考える方法を探る
人間の認知活動には、見る、聞く、話す、運動する、覚えるなど、さまざまなものがあります。その中でも、「考える」という活動は、人間が問題を解決していくために欠かせない働きです。人間がどのようにして「賢く」考えるのかを研究していくのが、「認知科学」という学問の重要なテーマです。心の仕組みを扱うので、心理学に近い分野ですが、認知科学では、人間以外の生物やAI(人工知能)のような人工物までも研究の対象としながら、「知」の解明をめざしています。
多様な選択肢から適切な選択ができることが賢さ
問題解決にあたって大事なのは、「自分の考え方」を考える、ということです。問題を解決するには、自分が思いついた方法以外にも、いろいろな方法があるはずです。多くの選択肢から答えを選ぶことができるのが、「賢さ」であると言っていいでしょう。しかし、簡単には解決方法がわからない問題や、目標設定がわからない問題もあります。例えば、地球温暖化を解決するには、国際情勢や経済など考えるべき要素がたくさんあり、解決策を単純に言うことはできません。そうした複雑な問題をどう解いていくかも、認知科学では扱っていきます。
「道具」を使う利点
人間は、問題解決の際に、さまざまな「道具」を使います。例えば電卓は、計算をサポートする機械ですが、見方を変えれば、「計算する」という課題を「キーを正しく押す」という課題に変化させるものだとも言えます。道具には、問題を別の方向から見たり、問題の構造そのものを変えたりする力があるのです。
これは、手に持って使う道具には限りません。図表に描いて考えを整理することもあります。自分だけで考えるのではなく、話し合う相手の存在や、組織、社会というものも利用できます。それらの「道具」を、認知科学では「外的資源」と呼んでいます。外的な要素が加わることで、問題が変容し、解きやすくなるのです。それは、より「賢く」問題を解決するための手段であり、認知科学の重要なテーマの一つでもあります。
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千葉工業大学 情報変革科学部 認知情報科学科 准教授 山崎 治 先生
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