ITでビジネスのイノベーションを起こす
農業のデジタル化とは
日本の米の自給率は既に100%を切っており、就農者は減少し高齢化も進んでいます。人手不足を補うため、IoT(モノのインターネット)の実践としてドローンや計測機器を活用した農業のデジタル化の研究が進められています。
例えば、田んぼの気温、水温、地温、風など環境データを数カ月間常時観測し蓄積させます。稲の生育状況の観測には、可視光線のほか近赤外線などでも撮影するマルチスペクトルカメラがついたドローンが使われます。これらの観測データから稲の生長分布、空気や水などの環境がデータ化できるのです。ほかにも、昔の地図や航空写真、地元の伝承などの情報も活用します。それら観測データや情報を総合的に組み合わせて分析することで生長が良くない箇所の理由を探ることもできます。
ベテラン就農者のノウハウも蓄積
高齢就農者の知見のデータ化も進んでいます。農家の方は、病虫害や天候不順、稲が倒れるなど不測の事態に対処してきました。それらのノウハウもデータとして蓄積できれば、農業初心者やロボットにも代わりができる可能性が出てきます。工学を使いつつ社会科学から経営を見て、農学、環境学、地理学の知見なども混ぜ込んだ、日本の農業を変えていくことをめざした研究です。
何をITと掛け合わせるか
現在、半自律飛行ができるほぼすべてのドローンはネットワークに接続され、 IoTの先端部分となり、飛行データを取得されています。世界中の飛行データ(墜落データ含む)を集めて解析することで制御プログラムは劇的に進化し、ドローンは落ちにくくなりました。IoTと人工知能技術の合わせ技の成果であり、ビジネスモデルの勝利と言えます。
現代のビジネスは複合的な要素で成り立っており、よく掛け算で表現されます。掛け算の要素を多く持つことがイノベーションには大事です。変わり続ける世の中に対応して未来を作れる人間が求められます。そのためスキルの軸はやはりITです。農業、経営、教育などすべての分野でITは武器になるのです。
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先生情報 / 大学情報
玉川大学 工学部 マネジメントサイエンス学科 教授 小酒井 正和 先生
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