講義No.09181 美術・デザイン・芸術学 理工系その他

楽しく! 面白く! 人を幸せにする「感性デザイン」とは

楽しく! 面白く! 人を幸せにする「感性デザイン」とは

「楽しい」をものづくりに生かす

感性デザイン工学というと、なんだか難しく聞こえますが、要するに、人が「楽しい!」「面白い!」「かっこいい!」と感覚的に思うこと、つまり感性を、工学的なアルゴリズムとして数値化・パターン化して、ものづくりのプロダクトデザインやサービスに生かす学問です。中でも、人を楽しませると行動が変わるという「Fun理論」に基づいた研究が行われています。

人の行動をデザインする

階段とエスカレーターがあれば、ほとんどの人はエスカレーターを使います。しかし例えば、階段を踏むと音が鳴るようにして、ピアノのような階段を作ったら、みんな面白がって階段を使うかもしれません。機能的に考えれば、音が鳴る必要はないのですが、そうすることで人が階段に興味を持ち、実際に使ってみたいと思い、行動を起こします。
工学的な視点から、人が「踏むと音が出ること」に対してどう感じるかを分析し、そうした感性的な要素をプロダクトデザインに反映しているのです。さらにここから、「人が行動するプロセスをデザインする」ことが、感性デザインのひとつの特徴です。

「Fun(楽しい)」が幸せを生む

プロダクトデザイナーは、機能的で使い勝手がよく、かつ美しく楽しい、誰もが「使いたい!」と感じるデザインをめざしています。いくら機能的でもダサいものは人気がないし、面白みがなければ選ばれません。人は、機能性とデザイン性にプラスα(アルファ)の魅力があるものに興味を持つのです。人がどう楽しむのかまでを考え、プラスαを加えることで、今までになかった価値が生まれます。そしてこのプラスαが人の行動をも変えてしまうのです。それゆえ、感性デザインによって人の行動をデザインすることも可能なのです。
研究の根本には「楽しませることで人が幸せになる」という考えがあります。楽しい、面白い、という感覚を持たせ、人に行動を起こさせるには、どうしたらいいのか? それを考えるのが、感性デザイン工学なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科 准教授 姜 南圭 先生

公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科 准教授 姜 南圭 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

感性工学、感性デザイン工学

メッセージ

人に幸せを感じさせ、その人の行動を変えるためには、どんなデザインをすればいいのか? それを考えるのが、「感性デザイン工学」です。ですから、あなたが「人を楽しませたい!」と思うならぜひ学びに来てください。
ただし、自分自身も楽しまないと、他人を楽しませることはできません。大学というのは、学問だけをするのではなく、遊び心を持って、仲間たちと一緒に楽しむ場でもあります。「Fun(楽しむ)」は、公立はこだて未来大学のコンセプトのひとつです。情報技術を使って、いろいろな楽しいことを考えてください。

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公立はこだて未来大学に関心を持ったあなたは

今の車はコンピュータなしに動きません。また、航空機の予約もできません。社会全体がコンピュータなしでは動かないようになっており、これからもっと広がっていくでしょう。資源がない日本では、社会全体に影響力のあるIT(情報技術)を武器に、世の中のさまざまな分野に踏み込んで革新をもたらしていくことが重要です。そのためには、これから世界を変えてやろう! と考えている学生に来てほしい。最先端を科学する不思議と驚きの世界に会いに来てもらいたい。未来大は、そうした意欲に十二分に応える教員と研究環境が整っています。