不思議がいっぱい! 植物の「根っこ」が形成される仕組み
植物を知りたいなら「根っこ」を見よ!
植物が成長する上で最も大切な働きをしているのは、実は「根っこ」です。一見、地味な根っこですが、茎や葉を支え、また、必要な水分や栄養分を吸収するなど重要な役割を果たしています。実はこの縁の下の力持ちである根っこに関しては、まだ解明されていないことが多く、さまざまな研究が行われています。
例えば、通常、根は主根とそこから枝分かれする側根があるのですが、ある時、側根がまったくない突然変異体が見つかりました。調べていくと、ある植物ホルモンが側根を形成する遺伝子の発現に影響を与えていることがわかりました。
今ホットな研究対象は「オーキシン」
側根の形成に影響していたのは、植物ホルモン「オーキシン」です。オーキシンが遺伝子の働きを変化させることで植物は側根を作ったり、作らなかったりして、根の張り方を決めているのです。植物の根が発達することは当たり前のように感じるかもしれません。しかし、これは環境に対応するために、根を作り出す細胞や遺伝子にホルモンが適切に作用した結果であり、それはとてもすごいことなのです。もともとオーキシンは植物の成長に欠かせない重要なホルモンとして知られていましたが、根っこの成長に遺伝子レベルで深くかかわっていたことが明らかになったことで、さらに根の研究が進むことになりました。
根を増やして収穫量アップ
オーキシンがどのように根を作り出す細胞分裂を引き起こすのか、その仕組みを解明することで、根の発達を人為的に制御することが可能になります。そうなると、農作物や樹木の成長をコントロールすることが期待できます。すでにリンゴの挿し木などでは、切った枝にオーキシンの入った薬剤をつけて根を増やすことで、木の成長を促し、収穫量を増やすことができています。「根っこ」の仕組みを追究することは、植物そのものの成長のメカニズムを解明し、それを実社会で役立てることにつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸大学 理学部 生物学科 教授 深城 英弘 先生
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