砂漠という過酷な環境で生きる植物の不思議
「奇想天外」という名の植物
あなたは、「砂漠」に対してどんなイメージを持っていますか? 「灼熱の暑さ」「雨が降らない」「ラクダ」……、そんな感じでしょうか。確かにその通りなのですが、そんな過酷な環境の中でも育つ植物があります。例えば、アフリカのナミビア共和国にあるナミブ砂漠でのみ見られる「奇想天外」という植物。一見、砂浜に打ち上げられた海藻のかたまりのような葉が特徴です。この葉は、もともとは2枚の大きな葉なのですが、乾燥しているために細かく裂かれたようになってしまうのです。この奇想天外、最高気温40度、年間雨量100mmという中で、なんと1000年以上も生き続けることができます。生きていくのに欠かせない水を得るために、比較的水分が溜まっているといわれる地下に10数mもの根を伸ばし、さらには、この地域に出る濃い霧の水分をうまく利用しているのではないか、という説もあります。
砂漠ならではのユニークな構造の種
キツネノマゴ科の「ブレファリス」という一年草の植物の種も、やはり砂漠ならではの興味深い構造です。ちょうどスイカの種のような黒い殻の中にあり、さらにこの黒い殻を、トゲのついた殻が覆っています。まずこの殻は、普通の種のように地面には落ちません。ネズミや虫に食べられないように、枯れてしまった茎の上の方にくっついています。枯れてしまっても、次世代に続く種を守っているのです。そして一度雨が降ると、水分によってまず外側の殻が開き、次に中の黒い殻も開きます。そして、殻の根元についたフック状のトゲが、種を遠くに飛ばします。種は水に触れると即座に全体から毛のようなものを出し、さらに粘液を出して、そこに根を張る準備をするのです。少ない雨を、最大限利用できるような仕組みになっているのですね。このように、砂漠で生き抜いてきた植物は、暑さや乾燥から身を守り、種を残せるようとてもうまくできています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。