読んで、見て、体感することで、「ことば」を感じよう!
日本の伝統文化から得る新たな発見
文学、芸能、演劇はそれぞれに独立した「ことば」を持ちながら、それらが重なり合うことで、また異なる「ことば」として表現されていくものです。近世の演劇や近世文学、いわゆる江戸時代のことを研究するうえで、江戸以前にどのような文学や芸能が生まれ、人々にどのように受け入れられていったのか、時代背景とともに知ることが必要不可欠です。発展と衰退を繰り返しながら、脈々と受け継がれてきた日本固有の文化の変遷を探ることは、新しい発見の連続です。勉強すればするほど、日本文化の豊かさを誇りに感じられるでしょう。
先入観を取り払い、純粋な気持ちで向き合う
歌舞伎とは何か、能狂言とは何か、学校の授業で学んだり、本で読んだりしたことがあるので多少は知っているという人はたくさんいます。しかし実際に、それらが上演されている舞台を見たことのある人は、そう多くはないでしょう。本から得た知識が先入観となり、「能や歌舞伎なんて、見ても理解できないし、堅苦しくて難しい」などと自分の興味の範疇(はんちゅう)から追い出してしまっているのです。「知っているつもり」が豊かな文化との出会いを妨げているのはとても残念なことです。
ことばが体温を持ったとき、印象は変わる
近松門左衛門の作品も井上ひさしの作品も、文学として、戯曲として非常に優れた、洗練された作品です。しかしそれが舞台上で、声を得て、役者の肉体を通して表現されたときには、また、まったく異なる印象を与えてくれます。書かれた文字はそれじたい意味を持ち、読めばおおよその内容は理解できますが、語り手によって印象は変わり、また演者によって表現も変わってくるのです。
ことばは変幻自在に表情を変え、そのたびに新たな発見をもたらします。「文字」と「体」と「声」を総合することで表現される文学の奥深さに、興味は尽きないのです。
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先生情報 / 大学情報
宮城学院女子大学 学芸学部 日本文学科 教授 深澤 昌夫 先生
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