物質的に豊かな日本で、なぜストレスに悩む人が増えているのか?
物質的に豊かな日本で増えるストレス
高度経済成長期を経て、日本は今、家庭に洗濯機やテレビ、エアコンが当たり前にある時代です。しかし「物質的」に豊かになったといえる日本でも「うつ」など精神を患う人が絶えず、自殺者も年間約2万人を超えています。何不自由なく生活できる時代なのに、どうして心を病んでしまう人が絶えないのでしょうか? それは物質的に恵まれていることが心の安定や喜びにつながっているとは言えず、むしろそれにともなうさまざまな要素がストレスの原因となっている可能性が高いからだと言えます。
仕組みを知ればストレスはこわくない
ストレスは悪者と思われがちですが、実は私たちの成長に必要な生体反応なのです。もちろん過度なストレスは私たちに重大なダメージを与えます。まず、ストレスの原因に遭遇すると脳や内分泌器官が反応します。それにより、交感神経優位となり、循環や呼吸機能をパワーアップさせます。その後、適度なリラクゼーションなどのコーピングを行う、これを繰り返すことで、ストレス耐性が成長していくわけです。ただ、休まず仕事を続けたり、思いもよらない出来事に遭遇した場合は、過度なストレス状態になってしまい、うつ病や急性ストレス障がいなどに苛まれてしまうのです。
心の不調を感じたら恐れずに受診しよう
もし自分の心のコンディションがよくないと気づいたとしても、周囲の目などがあり、病院を受診する一歩をなかなか踏み出せないものです。ようやく受診したら、すでに症状が重く、回復に時間を必要とするケースもあります。また、「そんなはずはない」と認めたくないがゆえに診察が遅くなる場合も多くあります。気分がすぐれない、ネガティブなことばかり思い浮かんでしまうと思ったら、気軽に精神保健センターに相談したり、心療内科などに行って、カウンセリングしてもらうことが、心を健康に保つ方法なのです。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 福岡医療技術学部 作業療法学科 准教授 田上 真二 先生
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