社会の土木構造物を支える、コンクリートの正体とは?
安くて入手しやすい、便利な材料
橋やトンネル、ダムなどのインフラ施設の多くは、コンクリートを使って造られています。コンクリートは主に水とセメントと砂と砂利によって作られるため、材料費が安く、容易に手に入ります。また、型枠に流し込んで成形するのでさまざまな形にできますし、材料を混合する比率によって、コンクリート自体の強度を用途に応じて自由に設定することもできる便利な材料です。
鉄筋と組み合わせて強くする
コンクリートは多くの場合、中に鉄筋を入れた鉄筋コンクリートとして用いられます。コンクリートは圧縮される力には強いのですが、引っ張りの力に弱いという弱点があり、一方、鉄筋は引っ張りの力に強いという特性があるため、両者を組み合わせると、強度を持たせることができます。また、コンクリートの内部はアルカリ性の環境なので、中の鉄筋は錆びにくくなり、耐久性が高くなるという利点もあります。
しかし、コンクリートの構造物は重くなってしまうため、大型の橋など、用途によっては鋼製構造物を用いた方がいい場合もあります。また、コンクリートはその製法上、鋼材などと比較すると品質にばらつきが出やすいのも事実です。そしてコンクリートは、いざ撤去しようとすると解体作業が非常に大がかりになってしまうという難点もあります。
コンクリート構造物を長持ちさせるために
現代のコンクリートで造られた構造物の寿命は、一般に50~100年を設計上の目標にしています。それらをさらにできるだけ長持ちさせるためには、どこかが壊れたら直すのではなく、非破壊検査などでこまめに異常をチェックして早い段階で補修することが求められます。人間の健康診断と一緒です。コンクリートの一部にひび割れが入れば、その時点では強度的に問題はなかったとしても、そこから内部の鉄筋が錆びてしまう可能性もあるからです。社会基盤を支えるさまざまな構造物を建設・維持していくために、コンクリートの研究・開発は欠かせない取り組みなのです。
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