建築廃棄物の「リユース」「リサイクル」を促進するには
建築廃棄物の処理方法
建築物を壊すと、コンクリート、木材、プラスチックといった廃棄物が出ます。コンクリートは、ほぼすべて粉砕して石として道路の下に埋められています。木材は、粉砕してパーティクルボードという木質材料に生まれ変わるか、燃料として利用されます。プラスチックは、一部が新たなプラスチック製品の原料になり、残りは燃料、利用できないものは埋められています。多くの建設廃材は、建設リサイクル法により上手く再利用されていますが、プラスチックなどの建材のリサイクル、リユースは一部の業者や個人の努力に任されているのが実態です。
ライフサイクルアセスメントとは
例えば、古い家屋の解体から出る古材は、その風合いを生かして別の建物のはりや家具に利用されます。古材を回収して販売している業者もあります。また、寺社仏閣には古材を生かして修理する技術の蓄積があります。個人のなかにも廃材を生かしてリフォームしたり、家を建てたりする人もいます。ただ新築の場合、廃材を使用することはほとんどありません。これは、新しい材料のほうが、品質がよく安いからです。しかし、資源が有限であり、建築という産業が未来にわたって持続することを考えれば、可能なかぎり使える材料はリユースして、加工して使えるものはリサイクルすることが必要です。このことを正しく認識するためには、材料の調達から製造、流通、廃棄までの環境への負荷を評価することが求められます。これを「ライフサイクルアセスメント」と言います。
環境負荷を下げるための試み
例えば、木材は再植林をする森林から調達すれば、資源が減少することはありません。また、製造段階であらかじめリユースしやすい設計にすれば、再利用率は高まるでしょう。3Dプリンタなど先端技術を使えば、廃材に合わせたモノづくりも可能です。建築物は利用期間が長期にわたるため、廃材が出てもその処理責任を製造業者に負わせることはできません。廃材利用を促進するための法制度の整備に加え新たな技術・アイデアも必要なのです。
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武蔵野大学 工学部 環境システム学科 講師 磯部 孝行 先生
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