街のサービスを提供しているのは、誰?
当たり前に受けている生活サービスを考える
「街のゴミの収集は誰がやっているのか?」「小学校の給食はどこが作っているのか?」私たちが、自治体がやってくれていると当たり前のように思っている生活サービスの担い手を改めて考えてみると、実はその多くは民間の力を借りて成り立っていることがわかってきます。ゴミ収集は、ほぼ民間の業者に委託されていますし、給食を作っているのは、多くの自治体で非正規雇用の人たちが中心です。また、役所内で実際に働いている人の約3~4割は、非正規雇用者だと言われています。
サービスの民間委託が進む
少子高齢化や税収の減少といった社会情勢の変化にともない、公共サービス、生活サービスといったもののあり方も変化してきています。かつて国営だった電話や鉄道がNTTやJRとなったように、さまざまな生活サービスの民営化や民間委託が進んでいます。しかし、ただ民間委託すればいいというわけではありません。よりよいサービスを提供するために、役割を分担し、公務員が得意でないことは民間に任せようということです。例えば、自治体が運営しているWebサイトがありますが、Webデザインは、必ずしも公務員に向いている仕事ではありません。Web製作を専門とする民間企業に任せれば、わかりやすいWebサイトが短期間で出来上がるでしょう。
高度化するサービス
公共サービスの一部を民間委託したときの問題として挙げられることのひとつに、住民の名簿の管理をどうするのか、というものがあります。個人情報の保護は、法令や条例で守られています。民間に渡す場合は、条例の例外規定を設けるなど、情報管理の規定、つまりしっかりしたルールを作る必要があります。
近年の日本では、社会情勢の変化や技術の進歩にしたがって、要求されるサービスが高度化しています。それを実現していくためには、ただ行政に頼るだけではなく、私たちがどのように行政を支えていくべきかを考える必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 都市政策科学科 准教授 長野 基 先生
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都市環境学、都市行政先生への質問
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