日本の「スポーツビジネス」の課題とこれから
ビジネスとしての側面を持つスポーツ
スポーツは社会に欠かせないものになっています。実際にプレーしたり、好きなチームを応援したり、選手の超人的なプレーに感動するなど、さまざまな楽しみ方がある一方で、スポーツにはビジネスとしての側面もあります。
プロとして多額の報酬を得る選手や、コーチや監督といった指導者、映像や記録などから戦術を分析するアナリストなどは、スポーツをビジネスにしている代表的な例です。ほかにも、ユニホームやシューズなどを提供するスポーツ用品メーカーや、チーム・大会に協賛するスポンサー、スタジアムやアリーナの運営などもあり、世界的にスポーツビジネスの規模や市場は広がり続けています。
世界に後れをとる日本
ただし、日本のスポーツには課題が残されています。世界レベルにあるのは野球やサッカーなどに限られ、バスケットボールや卓球はプロ化されたばかりです。また、オリンピックの人気種目であるバレーボールは、まだプロ化もできていません。バレーボールにおいては、1980年代から指導者の育成や有望選手の発掘、プロリーグの設立といった改革を実行し、世界ランキングトップになったブラジルと比べると、30年遅れているという指摘もあります。
ピラミッド型から逆台形型に
日本が世界基準から遅れている原因の一つに、選手育成の強化に主眼を置いたピラミッド型の構造があります。日本代表選手を頂点に、プロ(社会人)、大学、高校、中学と裾野が広がっていく構造が一般的です。トップにいくほど人は限られ、またピラミッドに含まれない人は関わりにくいという欠点があります。
世界基準に引き上げるには、これを逆台形型にする必要があります。選手以外にも、コーチやレフェリー、アナリスト、スポーツメーカーをめざすという選択肢が加われば、身体能力や持って生まれたセンスに関係なく、より多くの人がスポーツに関われるようになり、やがてスポーツビジネスの活性化にもつながっていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
大阪商業大学 公共学部 公共学科 教授 植田 辰哉 先生
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