スポーツは「する」だけじゃない! 「支える」人が地域を豊かに

スポーツは「する」だけじゃない! 「支える」人が地域を豊かに

学校でスポーツができるのはなぜ?

例えば学校でサッカーができるのは、体育の授業や部活動を行うグラウンドなどの場があり、指導者や仲間がいるからです。また、地域の競技場で試合を観戦できるのは、組織や大会を運営する人の尽力があってこそです。こうした、スポーツを「する・見る」ための「場(環境)」に注目して「事業」としてとらえるのが、スポーツ経営学です。地域スポーツ、スポーツ行政、スポーツビジネスなど幅広いテーマを扱い、人とスポーツのより豊かな結びつきの実現を目指す学問です。

総合型地域スポーツクラブに潜む課題

国は「生涯スポーツ社会」の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブを1995年から全国的に推進してきました。幅広い世代が生活圏内でさまざまなスポーツに親しむ場で、地域コミュニティの拠点ともなっています。全市区町村の70%以上で創設・育成が進み、親子でスポーツを楽しみ、また中高年層の健康づくりの場としても定着しています。
ただし、30~40代の独身者は地域との関わりが薄く、個人的に運動するかフィットネスクラブを利用する人がほとんどです。誰もが身近な場でスポーツを楽しみ、ともに豊かな地域をつくる「開かれたスポーツクラブ」となるには、世代間の「関わりにくさ」の解消が課題の一つです。

受け身にならず自ら「支える」

学校の部活動や地域のクラブチームなどで特定の競技に参加したものの、卒業・引退とともにスポーツから離れる人は多いでしょう。このように、あらかじめ用意された仕組みを利用する、スポーツに対する「受け身」の姿勢が定着してしまったことは、日本社会の一側面を表しているといえます。生涯を通してスポーツに関わるには、「する」だけではなく、競技会の運営、技術指導や心身のケア、情報発信などで「支える」という方法もあります。スポーツを楽しむ人の数を増やすことと同時に、主体的にスポーツを支える人材を育てることで、日本人とスポーツの関わりは多様に広がっていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

静岡大学 グローバル共創科学部 グローバル共創科学科 准教授 村田 真一 先生

静岡大学グローバル共創科学部 グローバル共創科学科 准教授村田 真一 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

スポーツ経営学、スポーツ社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は大学でハンドボールを始めましたが、バスケットボールなどのメジャースポーツと比べると練習場所や道具類が十分ではなく、苦労しました。同じ学内なのにスポーツをする環境に大きな差があるのはおかしいと思い、スポーツ経営学の本を手に取ったことが、研究を始めたきっかけです。以来、スポーツの機会は誰にも均等にあるべきだと考えてきました。身の周りのことに対する小さな違和感に目を向けて、「なぜだろう?」と想像力を働かせることから、学問への興味が芽生えます。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

静岡大学に関心を持ったあなたは

静岡大学は、7学部を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学の理念は「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。
失敗を恐れず若々しいチャレンジ精神をもち、人の意見によく耳を傾け、それに学び、協調性豊かに自己主張ができる人の入学を期待します。