スポーツビジネスの裏事情を探る「スポーツマーケティング」
スポーツ番組は赤字覚悟
サッカーW杯やオリンピックといったスポーツのビッグイベントの放送では、100億円単位の大金が動きます。日本ではNHKと民放各社がコンソーシアム(連合)を作り、放映権を買い取ります。しかし、放映権料があまりに高くなりすぎ放映権を買えなくなるという状況が出ています。例えば2013年のサッカーコンフェデ杯の決勝戦は生放送できませんでした。なんとなく見ているスポーツも、スポーツという文化とビジネスの論理がどこで折り合いをつけるのか、とても大きな問題です。
スポーツイベントに大金が動くようになった背景
このように大金が動くようになったのは1970年代からです。1970年代後半に衛星放送が始まり、世界中に番組が配信できるようになりました。すると、見る側はもっと高いレベルのものを見たいと思うようになります。そして、売る側も今まで番組が届かなかった国の人に自分たちのコンテンツを見てもらえるようになったため、マーケットが巨大化しました。それまでオリンピックは税金で行われていましたので、規模が大きくなったことで開催都市に立候補する都市が減っていきました。そこで民間資本を入れる道が選ばれたのです。その最初は1984年のロサンゼルスオリンピックでした。
スポーツの見方はどう変わるか
ビッグイベントの放映権料が上がる傾向は続くと考えられています。アメリカでは視聴者が料金を払って番組を見る習慣が根付いていますが、日本ではまだまだ多くの視聴者が料金を払うことに抵抗を感じています。しかし放映権料がどんどん上がり、地上波テレビでスポーツが放送しにくくなって有料テレビだけでしか放送されないとなると、少数の人しか見なくなり、人気にかげりが出るのではないかとも考えられます。
スポーツマーケティングを学ぶと、スポーツに対してこうしたいろいろな見方ができるようになります。
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先生情報 / 大学情報
法政大学 スポーツ健康学部 スポーツ健康学科 講師 井上 尊寛 先生
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