「計量経済学」って何だろう?
計量経済学の役割
経済や社会の問題について考えを述べる場合、数量的な裏付けがなければ、納得は得られません。例えば、少子化が進んでいるという場合、年齢別の人口や出生率の変化を根拠として示す必要があります。基となるデータが政府や企業が公表する集約されたデータでも、必ずしも完全な形をしているわけではありません。欠けているデータもあれば、加工しなければ裏付けとして使えないデータもあります。そんなときに活躍するのが「計量経済学」です。
計量経済学の方法
計量経済学とは、経済や社会の実態を統計学の方法で明らかにする学問で、その分析ではコンピュータとプログラミングを使うことが多いです。データを分析に使うとき工夫や技術が必要になることがあります。例えば、地方で高齢者と若者の所得格差を明らかにしようとしても、そのようなデータがない場合があります。その場合は既存の少ないサンプルから必要なデータを推測しなければなりません。そこで使用されるのが、確率や統計学の理論です。また、少子化の理由を明らかにする場合、少子化と都市化という一見関係ないようなものの関係性を明らかにします。そこで使用されるのが、経済学や統計学の理論とそれに基づいて作成した分析用のプログラムです。
このようなプログラムは研究者自身が一から作成する場合もあります。複雑な計算を短時間で行うためには、コンピュータの処理を効率化することも求められますから、ハードウエアの知識や簡潔なプログラムを書く技量が必要です。
計量経済学の有用性
最近では、ビッグデータが注目されています。しかし、目的のために最適化されたデータを得ることは容易ではありません。また、人工知能に関わる分析技術の機械学習で得られる結果は、意外な発見はあるかもしれませんが、経済や社会の分析に適しているかといえば、必ずしもそうではありません。
経済をモデル化し実証する計量経済学は、データの利用に制約があるなかでも、私たちが経済や社会の実態を知り、これからの施策を考える上で有用なものなのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
山口大学 経済学部 観光政策学科 准教授 福井 昭吾 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
計量経済学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?