経済学に学ぶ、ものの見方や考え方、そして選択
需要曲線や供給曲線の形状が重要
商品の価格は、右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線を1つのグラフに表した時の交点で決まる、というのが一般的な考え方です。
商品によっては、同じ価格の下げ幅でも需要が大きく伸びるものとあまり変わらないものがあります。前者だとお店の収入は大きく伸びます。衣料品をシーズンの変わり目に安くする背景にはそんな戦略が隠れているかもしれません。また、例えばマスクの需要が急激に伸びるとき、供給曲線は短期的にはほぼ垂直になっており、その結果価格が高騰してしまいます。このように、需要曲線や供給曲線の形状が具体的な経済現象に深く関わっていることを、「ミクロ経済学」では学びます。
町の経済を測り地域振興に生かす
国内の経済活動は、生産・分配・支出の3つの側面から把握でき、これら3つは等しくなるという「三面等価の原則」があります。それに基づいて、付加価値(GDP)がどのように生産・分配され、国内外でどれだけの取引があったのかを明らかにすることもできます。この「マクロ経済学」上の原則を、県や市町村レベルに当てはめて推計する取り組みがあります。地域における1年間の経済活動の規模やお金の動きから、自治体ごとの課題を見つけ出し、地域振興の政策基盤として活用するのです。
答えのない問いに向き合う
例えば、近年、地方と中央、個人間や世代間の所得格差など、格差が問題視されています。これを改善しようとする時、誰もが納得する答えがあるとは限りません。また、特定の目的には有効な政策が、別の問題を引き起こすこともあります。グローバル化の推進が格差を拡大するのも、そうしたことの一例かも知れません。だからこそ、政策やそれを支える理論について、その評価は分かれます。
望ましい社会のイメージによって選択肢は変わるのであり、必ずしも一定の答えがあるわけではありません。ミクロとマクロという2つの基礎理論を持つ経済学は、こうした問題に応える道具や視点を提供してくれるのです。
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先生情報 / 大学情報
福井県立大学 経済学部 経済学科 教授 新宮 晋 先生
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