崩壊・土石流の発生メカニズムを解明せよ!
土砂災害で人的被害が大きい土石流
土砂災害には、土石流、地すべり、がけ崩れの3つがあります。発生の割合としてはがけ崩れが多いのですが、一つの災害で人的被害が大きいのは土石流です。雨が降ると地盤に水が浸入して浮力が発生するなどして斜面が不安定になります。そこで崩壊が止まらなくなると、土石流が発生します。土石流は、土砂と水が一体となり速いスピードで流下し勾配が2度ほどの緩やかな場所まで到達するため、大きな被害が生じます。
発生場所の予測は難しい
雨は土石流が発生する大きな要因ですが、雨の量だけで決まるという単純なものではありません。雨の降り方や降雨時間も関係します。場所によって、土石流が発生する雨の条件の限界点が異なるため、少ない降雨量でも災害が発生することもあります。逆に、雨が多くても災害が起こらない場合もあります。また、同じ場所であっても、過去に土石流があったかどうかによって発生の有無が変わります。不安定な土砂がすでに移動してなくなっていれば次は発生しないかもしれませんし、残っていると次も発生しやすくなります。同じ地域でも斜面によって発生する場所としない場所があります。地形はもちろん、地質も関係します。このようなことから、崩壊・土石流の発生場所を事前に精度良く予測することは困難なのです。
崩壊・土石流の予測の精度を上げる
予測を難しくしているのが、崩壊・土石流の発生には多くの要因が絡み合っており、主たる原因が突き止められていないことです。そこで、土石流の発生頻度が高い地域で、過去の土石流がその後の土石流にどのように影響を与えているか、雨がどのように降ったかを調査し、また地形や地質を調査することで、土石流発生の有力な原因を探ろうとしています。この研究が進めば、より危険度の高い流域に対策施設を優先的に整備したり、土砂災害の警戒情報の精度が上がることで、被害が少なくなると期待されます。
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福山市立大学 都市経営学部 都市経営学科 教授 加藤 誠章 先生
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