川の成り立ちを調べて災害を防ぐ! ~土砂の性質について~
山や川はどうやってできるのだろう?
身の回りにある自然は、どのようにしてできたのでしょうか? 例えば山や川の成り立ちは、それらの形成に密接に関わる土砂の性質と移動の仕方にあらわれます。つまり、土砂の性質や流れ方について調べれば、山や川がどのようにしてできたのかがわかるのです。
土砂の性質や流れ方の調査
まず調べるのは、河原にある石の大きさや形です。どんな大きさ・形か、それがどういう割合で混じっているのかを調べます。それから谷や河原、山の斜面の地形の関係を見ていきます。過去に蓄積された土砂の動きに関する物理的な研究や地形研究も照らしあわせながら、どんなふうに土砂が動いたのかを分析し、地形のでき方を明らかにします。
また、土砂の流れ方は大きく分けると3通りあります。重力の作用だけで動くもの(山崩れ)、川の水が流れることによって動くもの、そして重力と水の流れ両方によって動くもの(土石流)です。川の水が石を運ぶ場合、当然石の大きさよりも川が深くなければ運ぶことができません。つまり、石の大きさから洪水時の川の深さを知ることもできます。このように地形とあわせて石の大きさを調べることによって、石の動き方だけでなくその場所の環境も知ることができます。
土砂からわかる、さまざまなこと
地面の傾斜と土砂の動き方や土砂の動きでできる地形の関係を用いて、土砂災害・洪水ハザードマップ(防災・被害予測地図)をつくることもできます。ハザードマップがあれば、どこでどのような土砂崩れが起きるか予測できるので、状況に応じてさまざまな対策を立てることができ、土砂崩れによる被害を防いだり、抑えたりすることができます。また樹木の樹齢を調べていくと、過去にいつ土砂が流れたのかがわかる場合もあります。
山や川の成り立ちは、人間との関わりのなかで考えれば、土砂災害、河川災害を考える糸口になりますし、そこに生えている植物などと結びつければ、自然のでき方や美しい風景のでき方にも理解が広がっていきます。
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立正大学 地球環境科学部 地理学科 教授 島津 弘 先生
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