世界と対話するチカラを育む「ダンス」の魅力
踊りのない国はない
2024年パリオリンピックに、追加競技としてストリートダンスの一種「ブレイキン」が採用されました。ブレイキンは、ダンスの中で「どう、すごいでしょう?」と自分の技や創造性を披露したことに始まりますが、そもそもダンスは、このように体を使って自分を表現し、たたえ合うものです。勝敗を争うスポーツが多い中、数少ない「相手と同時に戦わないスポーツ」です。その起源は2万年前にさかのぼり、動くという人の本能的欲求から生まれ、日本の盆踊りのような土着の踊り=フォークダンスへと発展して、世界各地に根づきました。踊りの輪に加われば、言葉やルールを介さなくても、リズムと身体表現を介して、民族という枠を超えて理解し合えます。ダンスを踊れば、世界と対話できるのです。
人は体内にリズムを持っている
そもそも私たちは、母親のおなかの中で心臓の音や血液の流れというリズムを聞き、生まれてからも心臓の拍動や脈拍が一定のリズムを刻んでいます。世界にあふれる音楽やリズムの中に、共感できるリズムが何かあるはずです。ノリやすいと感じたら、心のままに体を揺らしてみることがダンスへの第一歩です。物まねは発達の重要なステップなので、アイドルのダンスや自然界に生きる蝶などの動きを、まねるのも、よいでしょう。それが自己表現力を育むことになります。
いつでも・どこでも・誰でも一生楽しめる
ダンスはいくつになっても続けられます。例えば、バレエダンサー森下洋子氏は70歳を超えて現役で活躍しており、日本舞踊家の故武原はんは93歳まで芸を磨きました。舞踏家の大野一雄は体育教師としてダンスを教え始め、70歳で世界デビューしました。車椅子の生活になれば手を使い、全身が不自由になると目線を動かして踊りました。
仲間と踊ることは心身のリフレッシュ、社会とのつながり、引いては自己肯定感の向上に結びつきます。この長寿社会、生きるチカラを秘めたダンスは、教育はもちろん地域や個々の日常生活など、あらゆる場で役立つでしょう。
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先生情報 / 大学情報
静岡産業大学 スポーツ科学部 教授(学部長) 髙橋 和子 先生
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