企業と人をより豊かにする管理会計
財務会計と管理会計
会計というと、社外向けに公表されている決算書などをイメージする人も多いかもしれません。それは「財務会計」と呼ばれ、主に外部に財務状況を公表するために作成されているので、他社と比較できるように書式が決まっています。
その一方で、「管理会計」というものもあります。これは経営をうまくするための会計です。管理会計の会計資料の書式は、経営に役立てばよく、社内の人がわかればいいので、会社の方針によりさまざまです。年に何回作ってもかまいません。経営環境は日々変化しています。それに対応するためには、資金投入、人事、営業戦略、コスト管理などを常に見直していかなければなりません。管理会計はそのための重要な情報源なのです。
管理会計で何ができる?
管理会計は、経営を良くするための情報を提供してくれます。例えば、利益を出すためには、売上をもっと上げないといけないとか、その一方で会社を運営するのに必要な費用はかけられないとかいう場合があるかもしれません。管理会計の資料を見れば、材料費や人件費、家賃などが前年比どれくらいなのか、売上に対してどの程度の割合なのかがわかります。
これが、会社の仕事のやり方を考えるうえで役に立つのです。例えば、牛丼チェーンの店内を見ると、従業員が通る通路が極端に狭いことがわかります。これは、配膳した後にすぐに別の注文を聞いたり、会計したりできるように、移動距離を短くしているのです。店内の業務を効率化すれば、人件費を抑え、より多くのお客さんに牛丼を売ることが可能になります。管理会計は、このようなことを考えるための情報を提供してくれるものなのです。
人間くさい行為を反映する管理会計
業績のよい企業にはその理由があります。また倒産する企業も同様です。企業を運営する上ではそれらを分析し、活かすことが重要です。会計は単なる数字ではなく、人間の判断や行動の結果です。管理会計は、それらを改善し、会社や従業員をより豊かにするためにあるものなのです。
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先生情報 / 大学情報
県立広島大学 地域創生学部 地域創生学科 地域産業コース 准教授 足立 洋 先生
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