製品の「寿命」って? 経営学で見えてくる製品の「別の顏」
生き物みたいな製品の「寿命」
製品にも、市場での“寿命”があるのを知っていますか? 製品の誕生から衰退までのプロセスを、生き物の一生になぞらえて表すことができるのです。これを「製品ライフサイクル」と呼びます。開発されて市場に投入されたばかりの「導入期」、市場に広まる「成長期」、安定してどんどん売れる「成熟期」、飽和状態で売れなくなる「衰退期」です。資金的に見ると、企業に利益を一番もたらすのは成熟期で、この成熟期をいかに大きく長く維持するかに、各企業は努力しています。
「家族」のように支え合う製品
「製品ライフサイクル」は、人間の家族に置き換えて考えることもできます。導入期は、経費がかかってまだ利益が出ない「子ども」、成長期は、経費(教育費)がかかるけれど、アルバイトで少しお金を稼ぎだす「学生」、成熟期は、仕事をして家計を支える「父や母」、衰退期は、あまり収入は多くないが経費もあまりかからない「高齢者」という形です。人間の家庭の多くがそうであるように、企業でも「父や母」にあてはまる製品が利益をもたらし、その利益で主に「子ども」や「高齢者」に該当する製品を支えているのです。ですから企業は、常に成熟期の製品を維持するように、時期をずらして複数の製品を開発・販売します。
経営学を学んで世の中の動向を理解する
その例がApple社の製品です。音楽を聴くためのiPod、モバイルでネットが利用できるiPad、スマートフォンのiPhoneと連続してヒット製品を生み出したり、バージョンアップしたりして、常に利益を確保できるように戦略を立てているのです。しかし、製品にも個性があり、衰退期を迎えた後に復活して売り上げを伸ばすものや、何度も成熟期と衰退期を行ったり来たりするものもあります。
経営学では、このようにさまざまな製品を「理論」と「ケーススタディ」の両輪を用いて分析します。そうすることで、不確実な世の中の動向がよく見えてきて、理解できるようになるのです。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 現代マネジメント学部 現代マネジメント学科 准教授 石井 圭介 先生
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