企業の戦略とコミュニケーションの土台となる会計の力

会計の役割と種類
企業や公的機関においては、日々の取引・事業活動にともない、さまざまな活動が行われています。こうした活動を貨幣という尺度によって記録して、収支や財務状況を報告することを「会計」といいます。会計は大きく2つに分かれます。1つは株主や債権者、あるいは国(税務署)など、企業外部の利害関係者に向けた会計であり、「財務会計」といいます。一方、会計は経営者や経営幹部、部門長などの企業内部の人に、収支や財務の状況を知らせてより良い経営に役立てるという役割もあります。こうした内部向けの会計を「管理会計」といいます。
予算の役割
管理会計においては「予算」が重要な役割を果たします。予算は事業活動における計画と目標を金額に置き換えたものであり、特に一定規模以上の企業においては、戦略・計画を着実に実行する上で不可欠なものです。例えば製品をつくる際にはコスト=原価がかかりますが、これを「いくら以内に収める」という予算を定めなければ効率的な経営はできません。ほかにも広告宣伝や人材獲得にかける費用、あるいは売上をどれぐらい立てるのかという目標も、予算に含まれます。
予算を決めた後も「想定よりも経費がかかった」「売れなかった」と差異が生じることがあります。予算を達成するためには、その要因を分析して的確に是正措置を施すことが重要です。
企業内コミュニケーションに
また、予算は企業内で情報交換をするための「媒体」にもなります。例えばより高い利益を達成したい経営者と、現実的な販売力に沿った目標に収めたい営業部門、品質を確保できる製造コストを確保したい製造部門と、広告宣伝に力を入れたい広報部門のように、企業が計画を立てる上では、役職や部門の間にさまざまな利害が生じます。こうした場合に各部門が調整を図る上でも、予算は重要な目安として機能します。企業間の競争が激化する現在、会計という情報を社内に循環させて、企業内部のコミュニケーションを円滑にすることの重要性は、ますます高まっています。
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先生情報 / 大学情報

駒澤大学経営学部 経営学科 教授岸田 隆行 先生
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