講義No.13715 生物学

鳥から学べ! 恐竜の筋肉

鳥から学べ! 恐竜の筋肉

典型的な恐竜研究

恐竜の研究といえば、化石を発掘して新種を発見する、というイメージが強いと思います。最近でも、福井県で発掘された恐竜化石から「ティラノミムス(ティラノもどき)」という名の新種が発見されました。ダチョウに似た姿の、オルニトミモサウルス類と呼ばれるタイプの恐竜ですが、ティラノサウルスの仲間のものとされてきた骨の特徴も見つかりました。そのため、この特徴に基づく一部の恐竜の分類が見直され、結果的にオルニトミモサウルス類の起源が700万年以上さかのぼる可能性も出てきました。

恐竜を知るには鳥やワニを知ること

骨の特徴はこのように、分類や歴史を考える上でとても重要ですが、恐竜自体がどのような姿、体つきをしていたかを知る手がかりとしても重要です。その場合、化石だけでなく、今地球に生きている動物(現生動物)との比較が必要です。恐竜(鳥を除く)は絶滅してしまいましたが、その子孫である鳥のほか、ワニ、カメ、トカゲといった爬虫類が、系統樹上で最も近い現生動物です。化石には筋肉などの柔らかい組織は残りませんが、こうした現生動物との比較によって、恐竜の筋肉の付き方や動き方などを考察できるのです。

鳥やワニも謎だらけ

恐竜の中でも獣脚類は、基本的に二足歩行でつま先立ちをしていますが、その足の指をどのように動かしていたかは、とてもニッチな研究テーマです。恐竜どころか、鳥と爬虫類の間でも、足の指を動かす筋肉同士の関連づけがうまくできておらず、違いもはっきりしていなかったほどです。近年の日本で行われた研究で、まず鳥と爬虫類の間で筋肉同士の関連づけがなされました。その結果、両者の違いが明らかになり、鳥の祖先である恐竜の進化の中で起こった変化が予想できるようになりました。あとは化石からそれぞれの恐竜の筋肉のつき方を調べていけば、実際の進化の流れが見えてくるでしょう。このように、恐竜の生物学的な特性を明らかにしていくには、化石だけでなく、現生動物から得られる情報がとても重要なのです。

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先生情報 / 大学情報

福井県立大学 恐竜学部(仮称) ※2025年4月設置構想中  助教 服部 創紀 先生

福井県立大学 恐竜学部(仮称) ※2025年4月設置構想中 助教 服部 創紀 先生

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メッセージ

生物や地学など、基礎は高校でしっかり学んできてください。恐竜のことは独学になるでしょうが、どんどん調べてみてください。そして、あなたが興味を持っていること、究極的にはどんなことを知りたいのか、あなたのテーマと言えるものが漠然とでも見えていれば、より大学が楽しめるはずです。大学には多彩な先生方がいるので、いろいろな疑問が相談できます。本学は恐竜のことだけ、という環境ではないので、あなたの興味を軸にして、ぜひ先生方の研究との関連を探してみましょう。

福井県立大学に関心を持ったあなたは

本学は、経済学部(経済・経営)、生物資源学部、海洋生物資源学部、看護福祉学部(看護・社会福祉)の4学部6学科からなる公立の総合大学です。
福井県は、歴史や自然の豊かさ、生産技術、生活文化の質の高さを誇り、非常に優れた「学びと体験のフィールド」です。
充実した施設・設備と恵まれた自然環境の中、少人数教育を柱に、専門能力の養成はもちろん、教養・語学・情報教育を重視した多彩な教育プログラムを展開しています。
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