鳥から学べ! 恐竜の筋肉
典型的な恐竜研究
恐竜の研究といえば、化石を発掘して新種を発見する、というイメージが強いと思います。最近でも、福井県で発掘された恐竜化石から「ティラノミムス(ティラノもどき)」という名の新種が発見されました。ダチョウに似た姿の、オルニトミモサウルス類と呼ばれるタイプの恐竜ですが、ティラノサウルスの仲間のものとされてきた骨の特徴も見つかりました。そのため、この特徴に基づく一部の恐竜の分類が見直され、結果的にオルニトミモサウルス類の起源が700万年以上さかのぼる可能性も出てきました。
恐竜を知るには鳥やワニを知ること
骨の特徴はこのように、分類や歴史を考える上でとても重要ですが、恐竜自体がどのような姿、体つきをしていたかを知る手がかりとしても重要です。その場合、化石だけでなく、今地球に生きている動物(現生動物)との比較が必要です。恐竜(鳥を除く)は絶滅してしまいましたが、その子孫である鳥のほか、ワニ、カメ、トカゲといった爬虫類が、系統樹上で最も近い現生動物です。化石には筋肉などの柔らかい組織は残りませんが、こうした現生動物との比較によって、恐竜の筋肉の付き方や動き方などを考察できるのです。
鳥やワニも謎だらけ
恐竜の中でも獣脚類は、基本的に二足歩行でつま先立ちをしていますが、その足の指をどのように動かしていたかは、とてもニッチな研究テーマです。恐竜どころか、鳥と爬虫類の間でも、足の指を動かす筋肉同士の関連づけがうまくできておらず、違いもはっきりしていなかったほどです。近年の日本で行われた研究で、まず鳥と爬虫類の間で筋肉同士の関連づけがなされました。その結果、両者の違いが明らかになり、鳥の祖先である恐竜の進化の中で起こった変化が予想できるようになりました。あとは化石からそれぞれの恐竜の筋肉のつき方を調べていけば、実際の進化の流れが見えてくるでしょう。このように、恐竜の生物学的な特性を明らかにしていくには、化石だけでなく、現生動物から得られる情報がとても重要なのです。
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