心理学を使ってお金と賢くつきあおう!
1杯のコーヒーを我慢していたら
カフェでコーヒーを1杯飲むとき、「その出費のせいで将来、買えるはずだった何かをあきらめることになっている」とは、ほとんどの人が意識していません。しかし経済学には「機会費用」という概念があり、ほかの選択をしていれば得られたであろう最大の利益について考えます。
もしコーヒーを我慢していたら、欲しかった洋服が買えたかもしれないのですが、人は飲み物と衣類など分野の違うもので比較したり、現在と未来など時間軸を超えて判断したりするのが苦手です。このように人間の心理学的な傾向をとらえながら、身近な消費活動などについて考えるのが「行動経済学」や「心理経済学」と呼ばれる学問です。
財布のひもが緩む心理
旅行に行ったら太っ腹になって、普段より出費が増えても気にならない人はたくさんいます。まるで心の中に別の財布を持っているようであることから、行動経済学では「心理的会計」と呼んでいます。これは厳しくお金の出入りを判断してばかりでは脳が疲れてしまうので、自然と自衛している表れだと考えられます。また専用のコインに両替してゲームセンターで遊ぶようなときも、頭の中では別会計ができるので、ついついコインを使ってしまいます。中にはこのような別会計の心理を悪用するサービスもあるので注意が必要です。
人間の心理的傾向をビジネスに生かす
人間は出費の痛みを気にするので、電力やガソリンの使用料金を一目瞭然に表示すると消費が抑制されます。一方でクレジットカードや電子マネーで出費が見えないと、羽振りよく使ってしまいがちです。また、一生懸命に汗を流してサービスされたことには納得してお金を払えるけれど、素早く完了したサービスには高いお金を払いたくないという傾向もあります。
このようにお金を使うときの心理的なものに消費行動が影響されるのは間違いありません。そこで行動経済学を使ってお金や金融のことを学べば、より合理的な経済活動ができるのはもちろん、新しいサービスを生み出すなど、ビジネスへの応用も期待できるのです。
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先生情報 / 大学情報
専修大学 商学部 マーケティング学科 教授 渡邊 隆彦 先生
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