地域を元気にする「イノベーション」は起こせる!

地域を元気にする「イノベーション」は起こせる!

「地域イノベーション」とは?

地域イノベーションは地域や産学官の関係、空間スケールなどを研究対象として、どのような条件下でイノベーションが起きやすいのかを分析します。そのため、経済学と地理学の境界部分にある「経済地理学」や、産業や工業の立地を扱う「立地論」とは切っても切れない関係にあります。

3種に分けられるイノベーション

地域イノベーションは3つの類型に分けられます。一つ目は「サイエンス系イノベーション」といい、大学の研究成果を企業が事業化したり、製品化したりすることで生まれるイノベーションです。この場合、大学の研究成果は言語化された「形式知」としてグローバルに行き交います。具体的には、京都大学のiPS細胞の研究成果が製薬企業に提供され、再生医療の創薬に役立てられている例などが挙げられます。
二つ目は「感性系イノベーション」で、ひらめきから生まれるクリエイティブなイノベーションです。どのような環境でひらめきが生まれるのか、客観的なデータによって実証することは困難ですが、東京の渋谷のようなクリエイティブな人やアイデアが集まる場所や、自然豊かな環境がインスピレーションの源泉になる傾向があります。

福井県はものづくり系イノベーションが盛ん

そして三つ目が、特定の地域において、中小企業と公設の試験研究機関などが連携して起こす「ものづくり系イノベーション」です。この場合、中小企業が持っている技術は言語化されておらず、技術者と一体化している「暗黙知」です。そのため、「形式知」のようにグローバルにやりとりはできず、対面接触で試行錯誤を重ねながら伝達されます。
例えば、福井県はまさにものづくり系イノベーションが盛んなエリアです。全国的に眼鏡フレームの製造で知られていますが、それだけに留まらず、チタン合金の素材と加工技術を生かし、医師が使用するピンセットやはさみなどの手術具にも挑戦しています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

福井県立大学 地域政策学部 地域イノベーション学科(仮称) ※2026年4月開設予定 (設置構想中) 教授 松原 宏 先生

福井県立大学地域政策学部 地域イノベーション学科(仮称) ※2026年4月開設予定 (設置構想中) 教授松原 宏 先生

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経済地理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学で地域イノベーション研究を学ぶことで、卒業後には地域の課題解決のための政策の立案や提案ができるようになったり、店舗をどのエリアに出店すれば良いのかを的確に提言できるようになったりするはずです。地域イノベーションの研究は、地図の分析に加えて、足を使ったフィールドワークによって行われます。そのため、この研究に興味があるなら、今のうちから住んでいる地域の課題について積極的に関心を持っておいてほしいです。

福井県立大学に関心を持ったあなたは

本学は、経済学部(経済・経営)、生物資源学部、海洋生物資源学部、看護福祉学部(看護・社会福祉)の4学部6学科からなる公立の総合大学です。
福井県は、歴史や自然の豊かさ、生産技術、生活文化の質の高さを誇り、非常に優れた「学びと体験のフィールド」です。
充実した施設・設備と恵まれた自然環境の中、少人数教育を柱に、専門能力の養成はもちろん、教養・語学・情報教育を重視した多彩な教育プログラムを展開しています。
また、グローバル時代に対応した留学制度の充実など、教育の国際化にも力を入れています。