交流で生まれる「むらおこし」のパワー

交流で生まれる「むらおこし」のパワー

過疎の流れを断ち切る

近頃、よく言われる地域間の格差ですが、その最たるものが都市と農村の格差です。農村地域は、戦後の歴史を通じて人の流れが少なくなってきた場所です。入る人は少なく出て行く人が多いと、人口が減り、家がなくなってしまいます。それだけでなく、お店が減ってバスなどの公共交通機関も乏しくなります。都市のように便利に暮らすことが難しくなるのです。この現象が「過疎」です。
過疎が進むと、住んでいる人が自分たちの地域に自信を持てなくなり、さらに土地から離れてしまいます。そうすると、また人口が減り、産業の衰退や生活環境の悪化が起こります。この良くない流れを断ち切って活気ある地域をつくるには、住んでいる人たちに地域へのほこりを持ってもらうのがポイントです。地域だけに閉じこもらず、外の人と交流するのです。

交流で刺激を与え合う

地域を元気にするには、移住・定住する人を増やすことも必要ですが、日本の人口は減ってきていますので、農村だけ人が増えるということはありえません。そこで、交流することで刺激を与えるのです。
その一つは、「経済的な刺激」です。エコツーリズムやグリーンツーリズムといった言葉を知っている人もいるでしょう。旅行に出かけて自然を楽しみ、農業体験や地元の食材を使った料理を味わう農家レストランなどを利用すれば、経済的な効果を上げることができます。
もう一つは「社会・文化的な刺激」です。地域のお祭りや風習に価値を見出すことで、地元の人が自分たちの文化を見直すきっかけをつくります。地域を知ることで、住む人の自信を蘇らせるのです。高齢化が進む農村では、高齢者が若い人と接する機会は少ないのですが、大学生ら若者が農村に滞在して地域づくりを手伝うという「地域づくりインターン」の制度も行われています。
今の日本では、自分の田舎を持たない世代が確実に増えていますので、このような体験は貴重なものです。また今後は、都市と農村を結びつけるだけでなく、農村同士が情報や想いを共有することも大切になるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

鳥取大学 地域学部 地域学科 地域創造コース 教授 筒井 一伸 先生

鳥取大学 地域学部 地域学科 地域創造コース 教授 筒井 一伸 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

地域政策学系

メッセージ

地域学や地域政策学とは、どんな学問だと思いますか? 難しくはありません。例えば、自分が住んでいる地域はどのようにして成り立ってきたのか、そのプロセスを知って、これからどうするのかを考えることなのです。私は東京の出身で、過疎や農村と関係のないところで育ちましたが、学生時代に地域づくりインターンへ参加して興味が深まりました。現地に入って初めてわかることがたくさんあります。学んだことはその地域だけでなく、ほかの地域でも役に立ちます。現地で多くの視点を学び、地域づくりのプロフェッショナルになりましょう。

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鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。