都市の課題を解決し、新たな魅力を生み出す「スマーターシティ」とは
アジア諸国との幅広い連携の必要性
世界有数の経済大国となった中国をはじめ、東南アジアのASEAN各国や、インドやバングラデシュといった南アジア各国などでは、経済成長が続いています。国内の経済成長が頭打ちになりつつある日本では、そうしたアジアの国々と、経済や産業、文化、人材育成など幅広い分野で連携して協力していくべき時代が来ています。中でも、アジア各国の大都市との相互協力は重要です。国の経済は、まず都市を基盤に成長していくからです。
都市をよりよくするには?
どのような機能を持てば都市の競争力が増すかという問題は、その国や都市の置かれている状況によって異なります。例えば、若年層人口が多く、街やその周辺に使える土地が比較的多い都市は、製造業に重点を置くのに向いています。一方、新たに利用できる土地が多くなく、人件費の高い都市の場合は、サービス業や商業などに力を入れていく方が適しているでしょう。また、観光資源を多く持つ都市では、外国人観光客に魅力的な施設、イベント、サービスを拡充するとうまくいきます。こうしたプランは、それぞれの都市の行政、企業、NPOなどが意識して考えていく必要があります。
「スマーターシティ」への取り組み
その一方で大都市は、貧富の格差、保健衛生、雇用不足、治安の悪化、交通渋滞、大気汚染、ゴミ処理、災害対策など、さまざまな問題を抱えています。そのような課題に対し、ビッグデータなどを活用するIT技術によってよりよい対応策をみつけ、社会基盤やサービスを改善し、都市運営の効率向上をめざす「スマーターシティ」に向けた取り組みが求められています。スマーターシティの実現によって、新たなビジネスや雇用の創出、文化の発信につながることも考えられるでしょう。
国や地域の事情に合わせて、建築や都市設計などハードウェアだけでなく、ソフトウェアの面からも都市を改善し、住む人、訪れる人を幸せにする街をつくることが、都市創造学の目的であり、米欧では「シティサイエンス」として急激に台頭しているのです。
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先生情報 / 大学情報
亜細亜大学 都市創造学部 都市創造学科(令和7年度から社会学部 現代社会学科 ※2025年4月開設 教授兼任) 教授 後藤 康浩 先生
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