情報処理の視点でダンスを研究すると、何ができる?
ダンス情報処理とは何か
ストリートダンスに興味がある人なら、「どうすればもっと上達できるんだろう?」「一緒に練習してくれる人が少ない」「自分たちのパフォーマンスをもっと世の中の人に知ってもらうにはどうすれば?」と感じることは少なくないでしょう。そんなダンスにまつわるさまざまな課題を、表現工学と情報処理の視点から研究して改善策を探っていく試みが行われています。その研究分野は「ダンス情報処理」と呼ばれています。
最新技術でダンスをレベルアップ
グループでのストリートダンスを練習する時、参加する人数が十分にそろっていないと、全体のフォーメーションなどで確認できない部分が多く、練習の効率が下がってしまいがちです。それを解決する試みの一つとして、細長いスクリーンに等身大のダンサーが踊る映像を投影して、そのスクリーンをフォーメーションに合わせて移動させることで、少ない人数でも練習の質を向上させようとする研究が行われています。
また、ある人の、実際よりも少し上手にダンスを踊っている映像をディープラーニング技術によって作成し、段階的に映像をレベルアップさせていくことで、ダンスのイメージトレーニングの効率向上につなげようとする研究もなされています。
このほかに、ダンスのモーションと楽曲を分析して、おすすめの楽曲やより良い動画編集方法を提案する仕組みづくりや、さまざまなストリートダンスをデータベース化しようとする取り組みも行われています。
さまざまな文化の継承への応用
こうしたダンス情報処理にまつわる研究は、ストリートダンスだけでなく、国内外の伝統的な舞踊など、さまざまな文化の継承やデジタルアーカイブ化に役立つ可能性があります。また、知的障害のある人向けのダンスによるリハビリなどの際にも、これらの研究が貢献できるでしょう。ほかにも、社会のさまざまな活動を支援する技術基盤の構築にも寄与できる可能性を秘めています。人間をより深く知り、社会に貢献していくことのできる学問分野、それがダンス情報処理なのです。
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先生情報 / 大学情報
お茶の水女子大学 共創工学部 文化情報工学科 講師 土田 修平 先生
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