おいしくて健康にいい野菜と果物で地域と世界の人々を幸せに!
甘いトマトはどうやって作る?
リコピンという成分を多く含む食品として人気のトマトは、種類も豊富に出回っています。近年は濃厚な甘みを持つフルーツトマトのような商品も増えています。これは品種が異なるのではなく、栽培方法を変えて作っているのです。通常のトマト栽培に比べて水分供給をできるだけ少なくする、といったストレスを与えると、実は小さくなりますが糖度がグッと上がり、ほかの成分濃度も高くなることがわかっています。しかし現時点では、糖度が上がりかつ実が大きくなるテクノロジーの開発には至っていません。
植物の成長を人為的に制御する
花束の脇役として欠かせないカスミソウは、自然環境の中では日長、つまり昼の長さが長くなると花が咲く長日植物です。こちらも、光の種類や長さなどを工夫して開花を促したりする長日処理によって、季節を問わず供給が可能になりました。今はいろいろな光を出せるLEDがこのような自由に花を咲かせる技術に使うことができます。しかしカスミソウを含むさまざまな花で、光の色によって早く咲いたり、遅く咲いたりする科学的なメカニズムにはわからないことが多く、研究途上の段階です。
生命現象を解明して、もっと豊かな社会へ
野菜や果物、花などの園芸生産は、米や麦や畜産物などを含めた国内農業生産の約4割を占めています。栽培の技術開発が進む一方で、まだ明らかになっていない科学的メカニズムについての研究も続いています。どのようにトマトの糖や健康成分が増えるのか、なぜ花が咲くのか、という生命現象そのものを、遺伝子レベルの技術などを用いながら論理的に組み立てることができれば、よりおいしくて健康にいい高品質の野菜や果物を生産したり、従来は不可能だった季節や環境で生産を行ったりすることが可能になります。それは消費者や生産者に有益であるだけではなく、地域全体の産業振興に重要な役割を果たし、国内の食料自給率向上はもちろん、世界の飢餓救済にも貢献できると期待されています。
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先生情報 / 大学情報
東北大学 農学部 生物生産科学科 教授 金山 喜則 先生
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