国内市場や海外市場において、新しい製品を創造するための発想とは?
競争が生む悪循環
企業の競争が進み、多様な製品が出回ることを「市場が成熟する」と表現します。ある製品カテゴリにおいて市場が成熟してもなお競争が進み、結果的に同じような製品ばかりが出回る現象を「同質化」と呼びます。そうなると、消費者はものを選ぶ基準がわからなくなり、最終的により安い製品を選ぶようになります。企業はそんな中でもなんとか自社製品を売ろうとマーケティングに多くのお金をかけますが、製品の価格は上がらず、利益も得られないといった悪循環に陥ります。
テレビの市場がたどった道
同質化の典型的な例がテレビです。かつて、日本の名だたる家電メーカーが大変なコストをかけてテレビを開発・量産しました。激しい競争の結果、同じようなスペックの製品ばかりになり、より安価な海外製品も市場に参入すると、家電量販店での値引き合戦が始まりました。メーカー各社は広告宣伝に多くのコストを投じましたが、さらに利益が圧迫され、中には倒産するメーカーも出ました。リーダーシップの欠如や、過去の成功にとらわれ続けたことなど、要因はいくつか考えられますが、同質化した市場に固執し続けたことが、こうした結果を招いたのです。
今ある市場に固執せず、新しい市場に目を向ける
言い換えれば、これからは、今までになかった新しい市場を創造したり、海外の未知の市場をゼロから開拓することが企業の成功の鍵を握るといえます。ある日本のパンメーカーは、国内シェアは3番手でしたが、インドネシアでは7割のシェアをもっています。もともとインドネシアには、工場で作ったパンをコンビニやスーパーで大量に売るという市場はありませんでした。そこに目をつけて、同質化に巻き込まれない食品市場をいち早く獲得できたことが勝因といえます。「今は顧客ではない人」に目を向け、その人たちが顧客ではない原因を探し、どうすれば振り向いてくれるのかを考えたわけです。こうした柔軟な発想こそが、同質化から抜け出し、企業をグローバルレベルで成長させていく原動力になり得るのです。
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専修大学 経営学部 ビジネスデザイン学科 教授 目黒 良門 先生
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